亀の子たわしは、掃除グッズとしては定番中の定番ですよね。なんだかハズレ感のある景品のイメージのあるたわしですが、最近はその使い道も様々なんです。亀の子たわしの魅力が再発見できる、最近のたわし事情をご紹介しましょう。
亀の子たわしとは?
出典:写真AC
亀の子たわしは、天然繊維のヤシを加工して作った台所用品です。 繊細な繊維が密集しているので、食器や野菜の汚れがすっきり落とせます。 亀の子たわしを考えたのは、明治時代に醤油屋で働いていた少年。しょうゆ桶の掃除を便利にするため、自分で考え出しました。
それまでの食器洗いの道具は、藁や縄など植物を束ねただけのもの。 消耗が早く、使いにくく、便利とはいえない台所用品でした。 たわしのヒントになったのは、少年の母が作ったシュロという植物製のマット。 少年はシュロを針金で巻き、それを丸めて、誰にも持ちやすい形を作ったのです。
「亀の子たわし」と名づけて売り出したところ、食器も野菜も洗いやすくて大人気。 明治から平成の現在まで、同じ名前と高品質を維持したまま、100年近く売れ続ける大定番の台所用品になったのです。
亀の子たわしの作られ方
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亀の子たわしの原料は、たわしに適したスリランカ産ココナッツヤシです。 約2,000種の世界のヤシから、最適な繊維が選ばれています。 ヤシの実を分割し、約1ヶ月間水につけておくと、たわしの原料となる天然繊維を取り出すことができます。 天然繊維の長さを切りそろえて、「棒巻き」と呼ばれる作業に入ります。
棒巻きには、独特の形に加工した長い針金を使います。 ヤシの実から採れた天然繊維を、手作業で針金の隙間につめこんでいくのです。 たわしづくりで最も難しい作業であり、自動機械で行うことはできません。 人の手で微調整しながら、繊維を均一にびっしりとつめていきます。
針金に繊維を詰め終わったら、専用の機械にかけて棒状のたわしを作ります。 それを刈込機にかけて、繊維の先端を刈りそろえます。 刈り揃えられたまっすぐな状態のたわしを「棒たわし」と言います。 棒たわしを丸くまるめることで、「亀の子たわし」の形を作ります。
形を整えたら、台座にセットして「縄かけ」を行います。 縄かけで繊維の先が揃い、洗い物に使いやすい表面が仕上がります。 繊維と同時に針金も切り揃えると、「亀の子たわし」の完成です。
完成した亀の子たわしは、約20項目の検査が行われます。 オレンジのパッケージで販売されるのが、検査を通過した亀の子たわしになります。
たわしの意外な使い道①
たわし枕
たわしの使い道は、台所で食器や野菜を洗うだけではありません。 生活の中のあらゆるシーンで、たわしと同じ天然繊維が活用されています。 たとえばたわしの繊維で枕を作ると、頭部への肌あたりが良く、安眠しやすい枕が作れます。
弱すぎず強すぎず、心地よい刺激のヘッドマッサージになるのがたわし枕の特徴です。 繊維の隙間がほどよいので頭が寒すぎず、そのうえ通気も良く快適です。 真夏の暑い夜に使っても、頭に汗をかきません。 丸洗いで清潔を保てるので、枕の汚れが気になる人におすすめです。
たわしの意外な使い道②
たわし耳かき
たわしの天然繊維の肌あたりの良さは、耳かきにもぴったりです。 耳に入るくらい細く丁寧に作られたたわしで、気持ちよく耳かきができます。
たわしの耳かきの素材は、シュロと人工繊維のブレンドです。 弾力性がしっかりしているのに、天然繊維なので優しい耳あたり。 プラスチック耳かきのような、冷たくくっつく感触がないので、リラックスして使えます。
たわし専門店・かなやブラシ
大正3年創業、ブラシ専門の卸専門店が「かなやブラシ」です。 亀の子たわしやたわしグッズを、バリエーション豊富に販売しています。 本店は卸専門ですが、浅草とかっぱ橋道具街に一般客も来店できる小売店があります。
【浅草伝法院通り店】
住所 東京都台東区浅草1-39-10
電話 03-3841-8848
【浅草新仲見世通り店】
住所 東京都台東区浅草1-28-3
電話 03-3841-8848
【かっぱ橋道具街店】
住所 東京都台東区西浅草1-5-9
電話 03-3841-1113
台所用品だけでも、大小多くの種類があったり、洗うものに合わせてたわしの形が違っていたりします。 きっとたわしのイメージが大きく変わることでしょう。
たわしの魅力
たわしの魅力は、手作りの良さと温かみです。 たわしの繊維を細かく均一に仕上げられるのは、職人の手作業だけ。 繊維の密集度が高いので、今まで落ちないと思っていた汚れもすっきり取れてしまいます。
ザルのような目の細かいもの、包丁のように複雑な形、野菜の泥など、たわしが得意な洗い物が台所にはたくさんあります。 職人が心をこめて作ったたわしは、手にしたときの温かみがあります。 爽快な汚れ落ちと、優しい使い心地を楽しんでください。