「江戸硝子(ガラス)」は、東京の下町を代表する伝統工芸品です。江戸時代からつづく製法を受け継ぎ、地場産業として発展してきたという経緯がありますが、今や若い人の間でも親しまれるようになりました。
職人たちが心を込めて作り上げる一点もののガラス製品は、機械製のものには出せない美しいフォルム、そして独特の感触を持っています。
江戸硝子を生産し続ける「松徳硝子」
高級料亭や飲食店などでよく見かける、薄づくりの一口ビールグラス。これを製造しているのが、大正11年創業の老舗、「松徳硝子」です。もともとは電球用硝子の生産工場でしたが、職人による手仕事にとことんこだわった結果、数千種類ものガラスの器を生産し続けて、今に至ります。
そんな松徳硝子の幅広いラインナップのなかから、家庭でも気軽に使えるグラスと酒器をいくつかご紹介します。
うすはり タンブラー&小鉢セット
「うすはり」シリーズとして代表的なタンブラーLと、おつまみを入れるのにぴったりのガラスの小鉢がセットになったこちら。すぐに割れてしまうのでは?と心配になるほど繊細に見えますが、職人技で薄さを均一にしているため、強度もあります。飲み物の温度はしっかりと伝えつつ、口にふれたときにガラスの厚みが邪魔になりません。大きめのグラスはビールだけでなく、ハイボールを飲むのにもちょうどよいサイズです。
うすはり 酒器揃
冷酒を楽しむための酒注ぎとグラスのセット。特に酒注ぎは、松徳硝子のなかでも限られた職人にしか吹くことができないほど、高度な技術が必要なのだそう。上に向かってなだらかに細くなる、上品で軽やかなデザインにうっとりしてしまいます。透明なグラスは、お酒の色合いを見るのにもぴったりですね。また、注ぎ口の形状が計算されており、グラスに注いだ後に起こりがちな液だれもありません。
SHUKIシリーズ
格子柄のモールが入った、徳利とグラス。普段飲むお酒をさらにおいしくしてくれそうな、上質でモダンなデザインです。ぽってりとした形が手づくりならではのあたたかみを感じさせます。持っている角度を変えるたびに、キラキラと光る模様も素敵。徳利は2種類、グラスは4種類あるので、好きなものを自由に組み合わせて使うことができます。
伝統工芸品「江戸硝子」のある粋な生活
ご紹介したもののほかにも、ロックグラスやぐい呑み、カラフルな盃など、多彩なバリエーションがそろいます。「松徳硝子」ほか、熟練の職人が手がける江戸硝子の魅力は、なんといってもその「手づくり感」です。たまには自宅でゆっくりと晩酌タイムを楽しみながら、粋な手仕事に思いを馳せてみてはいかがでしょうか?
文・写真/ゆさ みずあ