江戸時代、遊女の街として栄えた吉原で、人々の注目を集めたのが「花魁道中」です。美しく着飾った遊女のパレードは当時から人気を博し、通りを行く人々を魅了しました。現在でもイベントごとなどで花魁道中が催されることがあり、その様子を見るために全国から足を運ぶ人もいるほどです。今回はそんな「花魁道中」の歴史や魅力について紹介します。
花魁道中とは
江戸文化を学んだことがない人には、「花魁」という言葉自体がなじみの薄いものかもしれませんね。花魁というのは元々は特に位の高い遊女を指す言葉で、吉原などで働いていた女性を意味していました。吉原等で遊女が禿や振袖新造を従えて遊女屋と揚屋、引手茶屋を練り歩き往復したのが、のちの「花魁道中」です。吉原の遊女の中でも特に格が上の遊女が、絢爛豪華な格好で練り歩く事で道行く人々を魅了していました。
現在の花魁道中は、これがショーとして残ったものです。昔のように遊女の仕事の一部としてあるのでなく、エンターテインメントとしての要素が強くなっています。花魁道中は現在になってから突然にショー化したのではなく、徐々に見て楽しむものになっていったという経緯があります。
花魁道中を見るには
photo by Hsiu Fo Cheng
現在、花魁道中のパフォーマンスはさまざまな所で催されていますが、定期的に開催されている代表的なものは二つあります。北海道で年に一度行われる夏祭り・すすきの祭りと、同じく年に一度、春の浅草で催される一葉桜まつりです。どちらも花魁道中は毎年恒例のお祭りの目玉になっているのでかなりの人混みを覚悟しなければいけませんが、見たことがない人には一見の価値ありです。
花魁道中のパフォーマンス
中には花魁道中と聞いてもなんとなく綺麗な着物を着た女性が何かするというくらいのイメージしかないという人も多いかもしれませんね。花魁道中で最も注目すべきパフォーマンスは、やはり「外八文字」です。
外八文字とは、花魁の女性が行う特殊な足運びのことです。通常の下駄の何倍も大きく底の厚い下駄を履いて、八の字型を描くようにしゃなりしゃなりと優雅に歩いてくれるというものです。これだけ聞いているとすごく地味なパフォーマンスのような気がしますが、実際はかなりの迫力があって、はじめての人にも十分見ごたえがあります。
花魁道中に出演する女性は毎年このパフォーマンスのために特訓を重ねることになります。超の付く高下駄で歩くのは簡単なことではないので、練習の成果にぜひ注目したいですね。
花魁を描いた有名な版画
photo by MIKI Yoshihito
花魁を描いた有名な版画絵も複数存在します。実物の花魁を見た事がないという人でも、どこかでその版画を目にする機会はあるでしょう。その版画はあの有名なゴッホにも影響を与えたほどで、人々が花魁に魅せられるのは昔も今も変わらないのです。
歴史の教科書等でも有名な花魁の版画を見る機会があります。版画からは高位の花魁の生活の様子などもわかるので、普段は決して見られない遊女たちの秘密を垣間見ているような気分になります。
花魁道中の魅力
photo by MIKI Yoshihito
花魁道中の魅力は一言で言えば、なんとも妖艶な女性がその美しい歩き姿を見せてくれるところです。中には花魁の魅力は花魁の衣装や贅の限りを尽くした着物・装飾品にあると感じる人もいますが、それ以上に花魁が規則正しく美しい歩き方でゆっくりと街を練り歩く姿は、普段なかなか目にできるものではありません。ゆっくりと余裕のある足取りで進んでいく姿は、女性の本来の美しさやしたたかさや器量といったさまざまなものを見事に表現しているのかもしれません。
いかがでしたか?花魁道中の歴史、魅力をご紹介しました。花魁道中を見学する際は歩き方だけでなく、花魁を囲む禿や新造、華美な装飾などにも注目です。興味のある人はぜひお祭りに足を運んで直に見てみてくださいね。