ガラス工芸を知ろう|技法や東京でできるガラス工芸体験をチェック

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日々の生活の中にガラスでできたものがあると、その輝きを見るだけで少しだけ楽しくなれたりしませんか?ガラス製品の中でも特に芸術性に富むのがガラス工芸です。美しい色合いと特徴的な質感や柄を持つガラス工芸は、全国のさまざまな地域に点在します。

ここではガラス工芸の歴史と、日本全国の有名なガラス工芸を紹介します。

芸術品としてのガラス工芸

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ガラスに細工をして色鮮やかな装飾品に変えるのがガラス工芸です。ガラスアートとも呼ばれ、日用品からアート作品まで幅広い活用がされている工芸技術です。ガラスというと一般的には窓ガラスのような板ガラスが主流ですが、ガラス工芸はそうした技術とは少し異なります。

形はもちろん色彩も自由自在、これがガラスなのかと驚くような作品が多数存在しています。体験授業で作れる簡単なものから熟練の職人にしか作ることができない繊細なものまで、ガラスには無限の可能性が秘められているのです。

あの宣教師が関係している!日本のガラス工芸の歴史


出典:写真AC

ガラスの歴史は古く、紀元前から使用されていたと言われています。日本に伝わってきたのは飛鳥・奈良時代といわれ、鉛ガラスという今とは違うガラスが使われていたという証拠が残っています。しかしこの後ガラスは日本の歴史からしばらくその姿を消してしまいます。

時は流れ天文18年、1549年にフランシスコ・ザビエルが来日し、海外からの品を数多く持ち込みました。ガラス工芸品はその中の一つです。その美しい色合いから日本でも生産がはじまり、長崎にガラス工場が建設されました。ここから一般人にも大きくガラスが広まっていったと考えられています。

ガラス工芸の技法は主に2種類!

ガラス工芸にも様々な技法があります。その中でも有名なものを見ていきましょう。

吹きガラス

まずは吹きガラスです。炉の中に溶かしたガラスを投入しそこに息を吹きかけ膨らませていくという技法です。ガラス工芸の中では有名であり、作っているシーンをテレビなどで見たことがある人もいるのではないでしょうか。丸みのある花瓶や壺などの制作に向いている技法です。

コールドワーク

次にコールドワークという技法です。こちらは吹きガラスとは違い、一切熱を使わずに形になっているガラスを加工して作っていく技法です。壁掛けの装飾品やステンドグラスなど平面なガラス工芸品の製造に向いています。このように、熱を使う手法と使わない手法とを、職人は常に使い分けながらガラス工芸品を制作しているのです。

日本の有名なガラス工芸を紹介!

日本にも様々な技法を使ったガラス工芸が存在します。有名な江戸切子や薩摩切子などは誰もが一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。

ここから、日本の誇るガラス工芸の魅力と特徴を見ていきましょう。

日本の有名なガラス工芸その1<江戸切子(えどきりこ)>

まずは江戸切子です。江戸切子の歴史は1834年、江戸時代の末期に始まったと言われています。透明なガラスにカットグラス工法による繊細な模様を入れたものです。

その繊細さはまさに芸術と呼ぶべき美しさで、1853年に来航したペリーへの献上品にもなり、ガラスでこのような美しさが出せるのかと驚いたという逸話もあります。

日本の有名なガラス工芸その2<薩摩切子(さつまきりこ)>

続いては薩摩切子です。薩摩、すなわち鹿児島県で生まれたガラス工芸です。こちらも誕生は1800年代、島津家の収める薩摩の地にて誕生したと言われています。

江戸切子との違いは色使いです。当時の江戸切子は透明なガラスに細工をしていましたが、薩摩切子は色ガラスにその細工を刻んでいました。さらに複数の色ガラスを使いグラデーション豊かな色合いも作成していました。その繊細さと色合いからまるで宝石のようだと評された芸術品です。

日本の有名なガラス工芸その3<小樽ガラス>

北海道にも有名なガラス工芸があります。その名も小樽(おたる)ガラスです。小樽ガラスが生まれたのは明治時代のことでした。北海道は漁業が盛んな土地で、当時漁に使っていた浮き玉というシンプルなガラス玉を製造する工場が小樽にありました。

しかしプラスチックが登場したことによりガラスの浮き玉の需要が激減した結果、コップやランプといったインテリアを制作する方向へと転換することになったのです。小樽では今でも小樽ガラスを使った雰囲気たっぷりの街並みを味わうことができますよ。

日本の有名なガラス工芸その4<琉球ガラス>

沖縄にもガラス工芸が存在しています。それが、沖縄ガラスとも呼ばれる琉球(りゅうきゅう)ガラスです。

琉球ガラスと呼ばれるようになったのは戦後の時代、割れてしまったガラスを回収して溶かして新たなものを作るというリサイクル事業がありました。すると様々なガラスが混ざりあい、それが独特の味を出していると評価されるようになります。こうして、沖縄独自の琉球ガラスが生まれました。

このような理由から製造方法は吹きガラスが主流になっています。もちろん原材料は今では変わっており、新品のガラスを使いながら独特のデザインを再現しています。

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