世の中には様々な職業がありますが、実は皆さんが知っている職業は、その中でもほんの一部であったりします。 今回は「原型師」という職業について、特徴や仕事の内容、魅力などを紹介します。
原型師とは
「原型師」と聞いて、仕事内容が想像できる人はそういないでしょう。 もしかしたら、初めて聞いたという方もいるかもしれませんね。 実は「原型師」の仕事は、私たちの日常生活にも深くかかわっているものなんです。
「原型師」とは、工業製品の鋳型(いがた)を造る時に、模型となる原型を制作する仕事をする職人さん、もしくは技術者のことです。 玩具、フィギア、ガレージキットなどの原型を造形する作業も含みます。 作業としては、手作業もしくはパソコンを使用してのデジタル作業があります。 ここ最近の技術の進歩で3Dプリンタが発達したことが、原型師の作業スタイルに多大な影響を与えています。原型師の具体的なお仕事内容を紹介します。
原型師の仕事
原型師の仕事は、銅像や貴金属、工業製品の鋳型(いがた)を造る際に、模型となる原型を制作することです。 原型の材料は以下のようなものがあります。 これらは、鋳造やプレス加工の方法により異なります。
「木型」 木材で製作します。
「蝋型」 蝋で製作します。
「金型」 金属で製作します。
「手原型」 パテや粘土などを材料とし手作業で作ります。
「デジタル造形」 パソコンを使って製作します。
業務の流れは、おおよそ以下のようになります。
1. 顧客との打ち合わせを行い、制作するキャラクターのデザインやポージンングを決めます。納期などのスケジュール調整もします。
2. 打ち合わせでの仕様に基づき、設計します。
3. 設計通り製作します。手原型の場合は、エポキシパテ(木材用)やポリエステルパテ、石粉粘土などの材料、 道具はナイフやヘラ、サンドペーパーなどを使用して制作します。
4. 完成品を納品します。
原型師の年収/勤務体系/福利厚生
原型師として仕事をするには、 フィギュアメーカー、フィギュア制作会社に正社員や契約社員として勤務する、もしくは、フリーランスとして仕事をするのが一般的です。
大手フィギュアメーカーに原型師(正社員)として就職した場合、初任給は20万円程度で、年収としては200万円代から350万円程が相場になります。勤務体系などは、会社員であれば一般のサラリーマンと変わりません。 フリーであれば、自分次第となります。
原型師のメリット・デメリット
メリットは、物作りという仕事から、やりとげた際の達成感と充実感があります。 デメリットとしては、大手メーカーでは採用人数が少ない為、就職するには狭き門と言えることです。 緻密な作業が求められる仕事ですが、会社勤めですと年収がそれほど高くないこともデメリットといえるでしょう。
原型師に向いている人・向いていない人
向いている人は、コツコツと地道な作業ができる人です。 そして手先が器用な人です。 また、仕事をしていく中で技術力を高めることができる人にも向いています。フィギュアが好きという方も真摯に取り組む姿勢は、技術の向上に繋がりますので向いていると言えます。 向いていない人は、細かい作業を長時間こなすことが苦手な人と言えるでしょう。
原型師の将来性
日本は現在「クールジャパン」に関する政策を打ち出し、アニメや漫画などの日本文化を海外に輸出しようとしています。その関係もあってフィギュア産業は拡大していることから、今後も原型師の仕事のニーズは増加すると思われます。 実力次第ではさまざまな仕事を請け負うことができるでしょう。
原型師になるには
原型師になるための資格というのはありません。 しかし、それなりの物を作って納品するわけですから、プロフェッショナルとしての一定の技術は最低条件となります。 造形技術を学ぶために、専門学校で基礎を学ぶことは必要不可欠です。
原型師になる魅力
原型師は納期との時間との戦い、体力勝負の仕事でもあります。ですが、今後はCGや3Dプリンターを使う「デジタル造形師」のニーズが高まりますから、新たな可能性を秘めている職業と言えるでしょう。
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