神主の仕事を紹介|気になる年収や必要な資格は?

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それほど信仰心のない人でも、新年になれば当たり前のように初詣に出掛けたり、お子さんの成長の祈願としてお宮参りで神社を訪れたりしますよね。

神社には神主さんがいますが、皆さんは神主さんについて、どこまで知っていますか?世の中には様々な職業がありますが、そのなかでも「神主」の仕事について知る人は少ないでしょう。

今回は、「神主」という職業にスポットをあて、その仕事を紹介します。

神主とは

まずはじめに「神主」とは何かということですが、『神道、神社において神に奉仕し祭儀や社務を行う者』と定義されています。神主というのは神社における役職の名前ではなく、職業としての名称いうことになります。

神主は、古くは神社で神に仕える神職の長とされていました。神を祭り、祭儀、社務を行う代表的な役割を担うポジションの人です。現在では、神職を行う人の総称として使われています。

神主には職階があり、宮司、禰宜などの職階があります。神主の仕事は、戦前までは男性のみの仕事とされていましたが、戦後は女性でも神主ができるようになりました。

神主の仕事

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では具体的に「神主」の仕事では、どのようなことを行っているのでしょうか。神主の勤務先は神社ですが、神職が神社に就職することを「奉職」と言い、奉職している神社に出勤し職務に就きます。

神職とされる神主の最も大切な仕事は、神社を常に清廉な環境に保ち、守り続けていくことです。神社には、参拝などで多くの人が訪れます。それらのすべての人が気持ち良く参拝できるように、神社の管理や環境の維持などを行っています。実務としては、清掃や修繕などを毎日行っています。

神主の仕事は清掃に始まり、清掃に終わると言われています。ただ、清掃しているだけではなく、清掃しながらも常に境内の状態を観察しています。本殿や境内の破損や汚損を見つけた場合は、自ら修繕を行います。

時折、神社を訪れた時に、気持ちが洗われるような、そんな気持ちにさせてくれるのは、神主の仕事があってこそと言えます。

神主の一日

一日の仕事の中では、参拝者の対応や、物販、各種祈祷などを行うなど基本的には神社での仕事がほとんどです。また、お祓いや地鎮祭などの依頼も受けており、現地に出向いて儀式を行うのも仕事のひとつです。どんな環境であっても、人々が神と対峙できる環境を整え祈祷を行います。

そんな神主の一日の、具体的な流れを見てみましょう。

6:00 起床。身支度をし、神殿の扉を開けます。そして神様にご挨拶から1日が始まります。

6:15 神社の門を開けます。本殿、境内を清掃をはじめます。

6:45 「朝拝」でお祓いを受け、心身を清めます。

7:00 朝食をとります。

7:30 社務所でその日の祭祀の準備をします。

8:30 お供え物を受け取ります。

9:00 車に祭壇・各種用具・お供え物等を積み込み、祭祀の現場に出発します。

9:30 地鎮祭の現場に到着後、準備を開始します。

10:00 地鎮祭開始。

11:00 地鎮祭終了後、神社に戻り、昼食をとります。

13:00 来社した方の対応や、お守りやお札等を販売します。

15:30 境内の修繕等を行います。

17:00 本殿、境内の清掃をし閉門します。

17:30 「夕拝」を行い、神殿の扉を閉めます。

※上記は、あくまで一般的な例です

これで一日の業務が終了となります。神道というのは信仰の有無に関わらず、実は日本人の文化・習慣として多く根付いています。例えば、初詣、合格祈願、安産祈願、お宮参りなどがその代表例です。

特に神主の仕事で多忙を極めるのは、大晦日から三が日にかけてです。また大きな祭祀の日にも多忙となります。その時期に関しては、アルバイトなどを雇う神社も多くあります。これらの歴史、儀式、作法などを一般の方にも分かりやすく広く伝えていくことも大切な職務の一つとされています。このように、神主の仕事は多岐にわたります。

神主の年収/勤務体系/福利厚生

実際の神主の仕事の年収や勤務体系などは、どのようになっているのでしょうか。

神主の年収はそれほど高くはありません。神社の収入は規模によって異なります。有名で規模が大きい神社は当然収入面でも大きくなりますが、国内のほとんどの神社は中小規模のため、収益もそれほど高くはありません。神社の主な収入源となるのは結婚式や七五三などの祈祷料やお守りやお札などの物販からの収益であるため、集客に大きく左右されるのです。

ところが神主の収入は、神社の収益に必ずしも反映されるとは限りません。実は神主などの神職には、月収に上限があるのです。神主の収入は一般のサラリーマン同様勤続年数や役職によって異なりますが、月収にして20万円から40万円が相場と言われています。そしてその上限は月額60万円までと規定されています。若年の神主などは、年収200万円代もざらなのが現実です。

勤務体系は、神社の規模にもよりますが、人によっては1日12時間勤務することもあります。また年末年始などの繁忙期は泊まり込みになり、神社で仮眠をとるなどして1日20時間を超過するなど過酷な勤務を強いられているので、定時の労働時間という概念はないのが一般的です。条件面や福利厚生としては、交通費支給、雇用保険、労災保険、外祭手当、階位手当、時間外手当などがあります。

神主のメリット・デメリット

メリットは、奉納品が現物収入として支給されることです。一定期間神前に供えられた後、祈祷料の一部として神職に分配されます。奉納品には米や野菜、酒などの生活必需品がありますので、生活の助けとなります。デメリットととしては、収入に限っては待遇がいいとは言いがたいことです。神社経営のみで生計を立てるのは難しいのが実情の為、幼稚園などを併設し副業として行っていることもあります。

神主に向いている人・向いていない人

人と接するのが好きな人であり、コミュニケーション能力が高い人が向いています。神職は氏子や参拝者、祈祷の依頼者など多くの人と接する機会があり、信仰に対して安心と安らぎを与える存在であるからです。また歴史や文化、伝統を重んじることができ、何よりも奉仕の精神があることが重要です。神に仕える立場の仕事ですから、清い心を持った人でなければ務まりません。逆に、欲深い人や人間嫌いの人などは向いていません。

神主の将来性

全国的に神職に就いている方は約二万人と言われています。実際の神社は世襲制をとっているところが多く、時代の流れに遅れをとっているところがあります。このような事情から、広く一般からも神職を募集する傾向が増加しています。

神主になるには

神主には階位という概念があり、これは言わば資格のようなものです。階位には以下の5種類があり、どれかを取得しなければ神職にはなれません。

浄階(じょうかい)

明階(めいかい)

正階(せいかい)

権正階(ごんせいかい)

直階(ちょっかい)

この資格を取得するには、専門の大学か専門の養成所に入る必要があります。大学は、國學院大學(東京都)と皇學館大学(三重県)で学べます。神職養成所は、出羽三山神社、志波彦神社・塩竈神社、熱田神宮などで運営されています。養成所での生活は、学校教育と言うよりは弟子入り近いものです。上記のような教育や修行を経て階位検定試験に合格すれば、階位を取得することができます。

以上、神主の仕事について紹介しました。日本人の信仰に根付いた神主の仕事は、神社に訪れる様々な人と触れあうことができ、一期一会の出会いを楽しめるものでもあります。興味がある人はぜひ目指してみてはいかがでしょう。

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