島根県東出雲の特産品「西条柿」でマイ干し柿作り

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晩秋から冬にかけての風物詩といえば干し柿作り。ここ島根県松江市の東出雲は昔から干し柿作りが盛んに行われてきた場所で、いまも昔から伝わる伝統的な製法で干し柿が作られています。

干し柿の一大産地、島根県・東出雲

島根県松山市の東出雲は、干し柿の一大産地で、毎年晩秋から冬になると干し柿が軒先などにたくさん吊るされ、町が美しい柿色に染まります。柿の品種は西条柿というもので、11月から収穫が始まり、機械でヘタの部分を取り除いたらひとつひとつ丁寧に皮をむいて、専用の紐を使って連ねます。

その後、柿小屋と呼ばれる場所で、1ヶ月間、たっぷり日光を浴びて乾燥し、12月から出荷されるのです。この西条柿を使った干し柿の歴史はふるく、尼子・毛利合戦時代には非常食として食べられ、文化6年(1809年)には、柿専用小舎が建造されました。

また、戦前、戦中、戦後には、砂糖が不足したため貴重な甘味として扱われました。そのためおおっぴらではなく細々と生産されていたのですが、昭和33年10月には「畑ほし柿生産組合」が設立され、増産されるようになったのです。

いまでは東出雲にある4本の西条柿の樹が島根県西条柿指定母樹になっています。この母樹は、県内に5本しかありません。

東出雲で作られる西条柿を使った「百一の干し柿」

島根の東出雲には、まる福農園の「百一(ひゃくいち)」というブランド干し柿があります。百一では、樹齢350年にもなる西条柿の木を含め1ヘクタールもの農地で西条柿を栽培、干し柿をはじめ101種類以上の加工品を作ることを目指している農家です。

なかでも干し柿は有名で、東京にある老舗の果物店「千疋屋総本店」御用達の直売所にもなっています。「百一の干し柿」は、ただ西条柿を使っているだけではなく、土作りから他の干し柿とは違うのです。除草剤は使わずに人の手で草を刈っています。

そうすることで、自然の力でふわふわの土壌ができあがるのです。そして、いい土作りをしているので、消毒しなくても微生物の力で病気になりにくく、美味しい柿が作れます。

そうして作った西条柿の中から、さらに柿を厳選し、皮をむいた後に天日干しで2週間、室内でワラの上に寝かせたり、干したりして1週間熟成に熟成を重ねて干し柿を作ります。

こうして収穫された西条柿は糖度が高く、また、干し柿は内側と外側が均一な堅さになっているのが特長です。干し柿にする前の生柿の時に冷蔵庫で熟成して均一にするので、「百一の干し柿」独特の食感が産まれます。

西条柿でマイ干し柿作りを体験

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百一では、マイ干し柿作り体験とマイ柿酢作り体験ができます。マイ干し柿は1ヶ月間、マイ柿酢は3年の月日をかけて完成するのですが、その間、プチ農業体験をしながら干し柿づくりや柿酢づくりを楽しめます。

干し柿作りは毎年11月下旬まで申し込むことができ、12月中にマイ干し柿作りに参加します。20名1組程度で、柿の皮むきや干し縄に柿をつける作業、そして百一ならではの熟成柿製法によるマイ干し柿作りができるのです。

自宅で干し柿を作ったことがある方はいるかもしれません。しかし、西条柿で百一独自の製法による干し柿を作れるのはここだけです。

一人もしくは一組みで干し柿一枠(80個)がついて、参加費用は2万円(税込)。交通費や宿泊費は別途自己負担になります。体験後、1ヶ月もすると箱詰めされた干し柿と記念の写真が送られてきます。

町全体が深い柿色に包まれる東出雲の光景は圧巻です。伝統的な製法によって作られる干し柿も美味ですが、百一の干し柿は伝統や経験の上に化学的な論理に基づいて生産されています。他にも干し柿を使った加工品など販売されているので、ぜひ食べてみたいですね。

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