歴史ある職人の技が光る「堺刃物」でワンランク上の食生活を!

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包丁の代表格・堺刃物とは

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堺刃物とは、大阪府・堺市やその周辺で生産されている刃物のことを指します。

認定を受けた伝統工芸士が作ったもののみを堺刃物と称することができ、現在その認定を受けている伝統工芸士は26名です。堺刃物は多くの料理人から愛されていることでも知られており、プロ用の高級品のシェア率は90%以上にものぼります。

堺刃物の特色は包丁の命であるその切れ味にあり、断面が美しくなめらかになるため料理の舌触りもよくなります。また、しっかりメンテナンスを行っていれば、切れ味が落ちることなく長期に渡って使い続けることができます。

堺刃物の歴史

堺刃物の歴史は、5世紀の古墳造営の時代に鍛鉄技術が堺に伝わったところから始まります。当時、世界最大の仁徳陵の造営は大変な大工事で、鋤や鍬などの生産が盛んに行われていました。この技術は、平安時代には刀製造技術として引き継がれます。

天保12年にはポルトガルより鉄砲やたばこが伝来し、堺の鋳鉄技術は鉄砲製造に生かされることとなりました。そして天保年間にはたばこの葉を刻むためのたばこ包丁が製造されるようになり、ここから堺の包丁作りが本格的にスタートしました。その品質の高さから江戸幕府より堺極印が附され、その名は全国に知れ渡ることになったのです。

歴史伝統を守る堺刃物の製造工程

堺刃物の製造工程は、大きく分けると「鍛治」と「研ぎ」と「柄付」の工程になります。しかし、実際にはもっと細かく分かれており、一本の包丁が出来上がるまでに大変多くの時間と工程を経ています。
こちらでは、堺刃物製造における各工程を大まかに紹介していきます。

鍛造
熱した鋼を叩き、大まかな包丁の形に整えていきます。大体の形ができたら、再び熱してゆっくり冷やす「焼きなまし」と呼ばれる作業によって炭化物のストレスを除きます。

成型
包丁の形をプレスや切断機などで整えます。グラインダーで凹凸を無くし、ベルトハンマーで叩き、鋭い切れ味を出していきます。

焼入・焼戻
高温で熱した後、水によって急冷し、強度を上げます。さらに温度を下げて加熱し、自然冷却することによって粘りを出します。ここまでが「鍛治」の工程となります。

荒研ぎ
砥石を使い、汚れを除いたり、刃を薄く研ぎ出し厚みを整えていきます。さらに木の台の上で歪みを調整していきます。

本研ぎ
より細かい砥石で刃を研ぎ、角度をつけていきます。

バフあて・仕上げ磨き
バフという円形布のホイールの外周に付けられた研磨剤によって包丁を磨いていきます。目の粗いバフから細かいバフの順に磨き上げ、最後に仕上げの磨きを施します。ここまでが「研ぎ」の工程となります。

柄付
最後に「柄付」の工程です。
さび止めの油をひき、中子と呼ばれる柄の木材に差し込む部分を熱して柄付けしていきます。柄尻
をハンマーで叩き中子を差し込んでいきます。その後、微調整や検品を経て完成となります。

歴史ある堺刃物職人の後継者

今や海外の日本食ブームの影響で堺刃物の需要は高まってきていますが、多くの工程を必要とする堺刃物は大量生産が難しく、そのための職人不足・さらには後継者不足によって供給が追いつかない状況です。

そこで2015年、業界をあげて若い世代の技術継承者を育てるために、市産業振興センターが堺刃物商工業協同組合連合会の協力のもと「堺刃物職人養成道場」を開講しました。これは、18~35歳までの意欲ある人を募集し、1年間の座学や研修を経て刃物事業所への就業を支援するという試みです。この試みによって、現在受講者の8人が堺刃物職人としての一歩を踏み出しています。

堺刃物の歴史をもっと知るには「堺刃物ミュージアム」

2011年の10月にオープンした堺刃物ミュージアムは、堺刃物の全てが詰まった施設です。
この施設では、包丁や鋏、珍しい刃物などあらゆる種類の堺刃物から歴史資料までが充実しており、堺刃物の歴史や技巧に触れることができます。さらに、堺刃物製造の実演も行われており、職人の技を目の当たりにすることができます。体験コーナーも設けられているので、実際に刃物作りに触れてみたいという方にはオススメです。

堺刃物が欲しいという方に嬉しい即売会も開かれているので、知識を得て納得の堺刃物を手に入れることも可能です。包丁や鋏の研ぎ直しも行われており、持ち込みのメンテナンスも可能です。

歴史ある堺刃物でこだわりの一本を!

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いい包丁を持つと料理が一層楽しくなります。そしてこの楽しさはスキルアップへの近道となります。料理が好きな人もこれから始めたいという人も、堺の包丁を一本持つだけで料理のレベルがグッと上がります。

切れ味がいい包丁は食材の水分を逃さず、スピーディに切ることができるので、鮮度を落とすことなく美味しく調理できるというメリットが存在します。そして抜群の切れ味を誇る堺刃物はこの部分に優れており、まさに和包丁の代表格と言えるでしょう。これが全国の料理人から愛され続けている理由です。

ぜひ職人の手がけた特別な一本を持って、普段の食生活をワンランク上のものにしてみませんか?

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