愛媛県松山市、道後に近い住宅地の中に、和菓子店・西岡菓子舗はあります。こちらでつくられている和菓子「つるの子」は知る人ぞ知る和菓子で、皇室の方々にも愛されています。「つるの子」のおいしさをご紹介します。
老舗和菓子店「西岡菓子舗」のつるの子
道後温泉から少し西、路面電車の走る大通りから入る道後一万の住宅地の中に「西岡菓子舗」はひっそりと建っています。落ち着いた佇まいで、地元に根ざした和菓子店です。「つるの子」が看板商品ですが、愛媛の特産品中山栗を使った秋限定の栗きんとんなど、季節感のある色とりどりの和菓子を取り揃えています。
幻の菓子「つるの子」
つるの子は昭和初期より松山にあった老舗菓子店「ほていや」で作られていました。しかしほていやが廃業し、長らく忘れられていたお菓子でした。つるの子の味を惜しむ茶人から復活を望む依頼があり、以前その菓子店で修行されていた西岡菓子舗のご主人が試行錯誤してようやく復刻させ、ほていやに了承を取ったのち販売に至ったのでした。全国菓子大博覧会食糧庁長官賞受賞も受賞している逸品です。
幻と言われるのは、西岡菓子舗の店舗でしか売っていないからです。すべて手作業で丁寧に作るため大量生産は行われず、このお店のみで売っている限定商品になります。空港や観光地のお土産店にも売ってないので、観光客への知名度は高くはありません。知る人ぞ知るお菓子として、遠方からわざわざ買い求めに来られる方もいます。
昭和天皇をはじめ、天皇陛下、美智子妃殿下、皇太子殿下、雅子様など皇室の方々も松山へいらっしゃった折には「つるの子」をお求めになり、宿泊先で御召上がりになり、お土産にされるそうです。ちょうど2017年10月に西岡菓子舗を訪問したときは「えひめ国体」の直後で、宮内庁の方が買い求めに来られたそうです。
つるの子は玉子そっくり。中にはカスタードクリーム
つるの子は、大きさも形も玉子のようなお菓子。底が平らになっています。色は白と薄いピンクで、紅白でおめでたいです。ふわふわの外側はマシュマロのよう。口に入れると、ふわりと溶けていくような食感です。卵白をメレンゲ状にして型どりして作られています。
中には黄身のような餡が入っています。餡といってもあんこというより、カスタードクリームのような味わい。新鮮な卵黄で作られています。和菓子というよりも洋菓子に近い不思議な食感で、甘すぎず、重すぎず、とても上品なお菓子です。とても軽い口当たりのお菓子なので、いくつでもパクパクと食べられます。福岡のお土産の「鶴乃子」と似ていますが、外側のマシュマロの食感と中の餡が違います。作り方も異なっているそうです。
通販もないのでなかなか愛媛以外では手に入りにくいのですが、松山に観光に来た際にはぜひ西岡菓子舗のお店を訪ねて、つるの子を試してみてください。人気商品で午後には売り切れることもあるので、遠方から行かれる場合は電話予約して取り置きしてもらうとよいでしょう。
(有)西岡菓子舗
住所:愛媛県松山市道後一万9-56
電話:089-925-5642(FAX兼用)
定休日:日曜日
営業時間:9:00~17:00
駐車場あり
公式HP:http://wwwc.pikara.ne.jp/tsurunoko/
Facebook:https://www.facebook.com/nishioka.turunoko
文・写真/あかつき