茨城奥久慈 たった一人で守り抜いた伝統食品

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食べ物を凍らせて作る食品は、豆腐を凍らせて乾燥させる高野豆腐や大根を寒風にあてて乾燥させる凍み大根など、日本の各地の風土にあったものが作られてきました。そのひとつ、凍みこんにゃくをご紹介します。

長い歴史を持つ保存食「凍みこんにゃく」

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凍みこんにゃくは茨城県奥久慈で昔から作られてきた歴史ある食品です。久慈は水戸市から車で1時間半ほどの場所にある山深い山間地です。このあたり一帯は、こんにゃくの一大産地でもあるのですが、凍みこんにゃくは秋に稲刈りが終わった休耕田を利用して作られる保存食です。

その歴史は江戸時代にまでさかのぼります。こんにゃくは、生のこんにゃく芋をすりおろして、それを水や石灰と混ぜたものを木枠に入れて固めて作ります。そのこんにゃくを薄く切って、田んぼに藁を敷き詰めたところに並べ、凍らせて乾燥させたものが凍みこんにゃくです。

凍らせては水をかけるという作業を毎日繰り返すと、こんにゃくから水分が抜けてスポンジのようになるのです。

たった一人で伝承? 消滅の危機だった「凍みこんにゃく」

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現在市場に出回っているこんにゃくは、必ずしも生のこんにゃく芋が原材料になっているわけではなく、こんにゃく芋の粉末を水に溶かして作られているものがたくさん出回っています。生のこんにゃく芋の場合、芋の洗浄や皮むきなど手間のかかる工程を踏まねばならず、寒い中、水をかけて夜凍らせるという作業を経なければなりません。

また、凍みこんにゃくは、作り手の人が激減し、一時はたったひとりの人がかろうじて伝承されるところまで生産が落ち込んだのです。手間暇かかる割に、世間では油揚げなど大量に、比較的簡単に作れる、凍みこんにゃくに代わる食品が一気に広まったことも影響しました。

しかし、なんとか凍みこんにゃくを絶やさないで作り続けたいという方の努力が実って、最近では茨城県産の伝統食品として凍みこんにゃくが見直されているのです。凍みこんにゃくを復活させるにあたって、当初、レシピなど書かれたものは存在せず、大まかな手順は伝え聞いていても、試行錯誤しなければなりませんでした。そうした努力のかいがあって、凍みこんにゃくに再び光があたることになったのです。

どのようにして食べるのか

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食べ方
凍みこんにゃくは、普通のこんにゃくと違って乾燥しているので水分が抜け、そのため出しや調味料が染み込みやすいという特徴があります。そのため、水でいったん戻して絞ったものを他の野菜などと一緒に炊き合わせにすると味がしゅんで美味しくいただけます。また、衣をつけて天ぷらやフライにしても独特の食感を楽しめるので、おやつや酒の肴としても使えます。

凍みこんにゃくの作り方
凍みこんにゃくは、家でも作ることができます。生のこんにゃく芋から作った多くてプルプルのこんにゃくを買ってきて、薄くスライスします。一枚ずつラップでくるんで冷凍し、凍ったら流水につけて解凍します。この作業を何度か繰り返すと、こんにゃくの水分が抜けてきます。

本場では20回、冷凍と水をかけて解凍する作業を繰り返すといいます。ご家庭で作る時もそれくらい何度も冷凍と解凍を繰り返すと水分が抜けてきます。そして、水分が抜けたこんにゃくを天日で乾燥させると凍みこんにゃくのできあがりです。使う前には水に浸して戻し、水気を絞ってから使用します。

じんわり出しが染み込んだ凍みこんにゃくは、生のこんにゃくとは違う弾力とざくざくした食感を楽しめます。しっかりと乾燥してあるので、保存食としても使えるのが嬉しいところです。凍みこんにゃくはクセがないので、食感を楽しむ料理にぴったりです。いろんな料理にアレンジして使ってみたいですね。

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