石川・珠洲焼の渋い魅力!お花を楽しみたい人にも

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石川県珠洲市には、珠洲焼と呼ばれる県指定の伝統工芸品があります。珠洲焼の魅力は、釉薬を使わず生まれる、黒灰色の渋い色合い。器として、料理やお花などを引き立ててくれる、珠洲焼についてまとめました。

出典:珠洲焼全国展開実行委員会 

珠洲焼の歴史

珠洲焼は石川県珠洲市付近で、平安時代末期(12世紀後半)ごろから生産されていたとされる陶器です。一時は北海道南部まで運ばれ、日本列島の四分の一に商圏を広げるなど、中世日本を代表する陶器のひとつでした。

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しかし、室町時代が終わり、戦国時代に入るころ(15世紀後半)になって、なぜか忽然と姿を消したそうです。

姿を消した理由は今もはっきりとしません。以来、「幻の古陶」と呼ばれてきた珠洲焼ですが、1970年代になって珠洲市が復興し、1989年には石川県指定伝統工芸品の指定を受けるようになりました。

珠洲焼の特徴

珠洲焼は、古墳時代から平安時代にかけて多く焼かれた、須恵器の技法を受け継ぐ陶器です。「還元焔燻べ焼き」、「強還元炎焼成」、「くすべ焼」などと呼ばれる技法を用い、釉薬を使わずに穴窯で数日間焼き締めるのが大きな特徴のひとつです。

釉薬が使われない理由は、珠洲の土に鉄分が多いためです。薪を使い、1200℃の温度で焼くと、薪の灰が溶けて自然の釉薬になります。灰をかぶり、灰の炭素と結合することで、黒灰色の器が生まれます。


渋い色合いが魅力的の珠洲焼には、叩き紋や秋草紋、印花紋、綾杉紋などの装飾が施されることもあります。伝統を守りつつ、日々茶器や酒器、食器、花器、置物など多様な作品が作られています。

使うほどなじむ!珠洲焼を使ってみよう


珠洲焼の表面は、釉薬を使わないため、凸凹しているのも特徴のひとつです。ですが、この凸凹がビールを楽しむのに最適。きめ細かな泡立ちが生まれます。

使うときはぜひ、事前に冷蔵庫でカップやジョッキを冷やしてから使ってみてください。珠洲焼は使い込むことで、次第に落ち着いた色ツヤが生まれるのも魅力的です。

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珠洲焼はお花を楽しみたい人にもおすすめの器です。使用される土に鉄分が多いことと、焼き締めるときに釉薬が使われないことで、水の浄化機能を備えているからです。珠洲焼の花器なら、お花を長く楽しめるといわれています。

珠洲焼を楽しむ

珠洲焼の歴史を知る。珠洲焼資料館

出典:珠洲焼資料館

珠洲市内にある珠洲焼資料館では、中世の珠洲焼を収集・保管、展示している施設です。海に沈んだ珠洲焼や、復元窯で焼成した作品が展示されているほか、幕末に珠洲で焼かれたとされる三杯焼、正院焼も見ることができます。

<珠洲焼資料館の利用情報>

所在地:〒927-1204 石川県珠洲市蛸島町1-2-563

開館時間:9:00~17:00

休館日:年末年始(12/29~1/3)

入館料:一般310円(210円)、小~高校生150円(100円)

    ※()内は20名以上の団体料金

お問い合わせ:0768-82-6200

自分好みの器を見つける!珠洲焼館

珠洲焼館では、珠洲焼の陶工46人の作品の展示販売が行われています。花器、酒器のほか、普段使いにできる湯飲みやコーヒーカップなども置かれています。

作品とともに陶工の写真も展示されているので、作り手の思いも感じられそうです。時期によってはいけばな展などの催事も行われます。

<珠洲焼館の利用情報>

所在地:石川県珠洲市蛸島町1-2-480

営業時間:9:00~17:00

休館日:年末年始(12/31~1/4)

お問い合わせ: 0768-82-5073

珠洲焼の体験ができる!珠洲市陶芸センター

自分だけの珠洲焼を作りたい、という人には珠洲市陶芸センターがおすすめです。珠洲焼体験として、手回しろくろを使い、手びねりで作品作りに取り組めます。

一人1㎏の粘土を使えるので、大きい作品を作ってもいいですし、小さい作品なら2~3個作ることができます。珠洲市陶芸センターでは、月に一度、体験企画も行われています。興味がある人は、ぜひ一度問い合わせてみてください。

<珠洲市陶芸センターの利用情報>

所在地:石川県珠洲市蛸島町ミ部1番地1

営業時間 8:30~17:15 (体験時間は9:00~17:00)

場所:珠洲市陶芸センター内体験実習室

料金:3,000円(粘土代、焼成代込)

※ただし、珠洲市内の児童・生徒は1,500円

所要時間:約2時間

申込人数:1名~24名(要予約)

申込方法:事前に陶芸センターへ電話確認が必要

※団体等の使用が予定されている場合は利用できない場合もあり

休館日:毎週月曜日・祝日の翌日・年末年始(12/29~1/3)

お問い合わせ:0768-82-3221

独特の風合いが魅力の珠洲焼、イベントもお見逃しなく

珠洲市でとれる土の特性から、釉薬なしの独特の風合いが生まれる珠洲焼。

一度手にした器というのは、愛着がわきやすいものですが、使い込むほどツヤが出る珠洲焼も例外ではないはず。渋い色合いはお花や料理、飲み物と何を入れてもしっくりきそうです。

珠洲市では、秋になると珠洲焼まつりや珠洲焼作家市が行われるほか、。珠洲焼を含めた焼き物や伝統工芸品のフェアも年に数回行われているようです。機会があれば、ぜひ足を運んで珠洲焼に触れてみてください。

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