気になる職業チェック!「和菓子職人」になるには|必要な資格・収入など

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正月を祝う鶴や富士山、松などが描かれたものをはじめとし、春には桜、梅雨時にはあじさい、夏には花火、秋には菊、冬には雪景色など日本ならではの季節感を菓子で表現する「和菓子」。酒蒸しまんじゅうや田舎まんじゅうなど、素朴な菓子も魅力的です。

今回は、そのような和菓子を作る職人になる方法や収入、必要な資格、やりがいなどについてご紹介します。

和菓子職人ってどんな仕事?

和菓子は、何百年も前から作られてきた日本の伝統的な菓子です。和菓子に欠かせないあんの種類だけでも非常に豊富。さらに豆類や穀類、季節のフルーツなどを使い、練る・蒸すという伝統的な技法を駆使しているのです。そうした工程を経て、生菓子や干菓子などの和菓子が作られます。

また、四季のある日本の菓子の場合、季節感やそれを表す自然のモチーフは重要で、春夏秋冬の移ろいを菓子で表現する繊細な感性が求められる仕事です。また、最近は洋菓子と融合した先進的な和菓子を作る職人も必要とされています。

和菓子職人になるには

和菓子職人になるには、以下の2通りの方法があります。

和菓子屋で修行

和菓子屋に弟子入りして、何も知らないところから下働きと修行を重ね、実際に手を動かしながら知識や技術を身につける方法。すぐにでも現場で働きたい人におすすめです。

ただ、学校のようにカリキュラムがあるわけではないため、基礎的なところは仕事をしながら自分で学びにいく姿勢が重要。勤続年数が要件を満たせば、国家資格「製菓衛生士」の受験資格を得られます。

また、数は限られていますが、伝統工芸士に認定されている職人さんもいます。取得には一定の要件がありますが、弟子も伝統工芸士になる傾向がありますよ。

「すぐにでも和菓子店で働きたいけれど、基礎的な知識や技術は専門学校で体系的に学びたい」、そんな方におすすめなのが日中は和菓子店で修行し、夜間は専門学校に通うという方法。学びながら修行もでき、製菓衛生師の国家試験受験資格を取得することも可能です。”

 

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専門学校

一般的にいちばん多い方法は、調理科のある高校や製菓の専門学校に行くルート。まず、学校で和菓子作りの基礎について知識や技術をある程度習得し、その後和菓子店や企業などに就職します。

ただ、まだまだ徒弟制度の色が濃厚に残っている和菓子業界。学校を出たからといってすぐに活躍できるわけではなく、就職後も修行の日々が続きます。学校によっては、在学中に授業を受けて国家資格「製菓衛生士」の受験資格を取得できるところも。”

全国和菓子協会に加盟している店だけでも3,000店あり、全国に1万店あると言われている和菓子店。江戸時代から何百年も続いている老舗の和菓子店やお茶会用の生菓子や干菓子に力を入れている店、郷土菓子や焼き菓子、羊羹、みたらし団子など特定の和菓子を中心に扱っている店などさまざまな店があります。

和菓子職人におすすめの資格

和菓子職人におすすめの資格

和菓子職人になるのに、特に必要な資格はありません。しかし、将来独立開業を希望するのであれば、食品の安全衛生に関わる資格を持っておくと、経営者として有利です。以下2つの資格がおすすめ。

製菓衛生師

和菓子・洋菓子を問わず、菓子を製造する人の安全性や衛生管理に関する資質向上を目的とした国家試験です。菓子製造の実務経験が2年以上、もしくは製菓衛生師養成施設で、1年以上食品の安全や衛生について学んだことがある人が受験資格を得られます。

菓子製造技能士

和菓子および洋菓子を作る技能や基礎知識が問われる資格です。筆記試験は、食品衛生や関係法規、食品に関する一般的な知識に関する試験。実技試験では、生地づくりや焼き上げ、加工の腕が試されます。

調理科のある高校や製菓の専門学校に行くというのが一般に一番多い方法です。まず学校で和菓子作りの基礎について知識や技術をある程度習得し、その後和菓子店や企業などに就職します。

ただ、まだまだ徒弟制度の色が濃厚な和菓子界。学校を出たからといってすぐに活躍できるわけではなく、修行の日々が続きます。学校によっては、授業を受けて国家資格「製菓衛生士」の受験資格を取得できるところもあります。

女性でも和菓子職人になれるのか

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和菓子職人には、女性よりも男性のイメージがあるかもしれませんが、もちろん女性でも目指せる世界ではあります。

しかし、業界的にはやはり男性の方が圧倒的に多いため、活躍している女性の和菓子職人はほんの一握りです。ある製菓学校によると、生徒の男女比は男性3対女性7というデータがありますが、職人になる道はそれだけ険しいことが伺えます。和菓子職人への道は、見習いとして和菓子店に入社したとしても、一人前になるには10年かかるともいわれているのです。そのため、女性の場合は結婚や出産による環境の変化がネックになり、退職してしまう人も多いんですよ。

また、もう一つネックになるのが、見習い時の力仕事が多い点です。大鍋を持ち上げたり、ひたすら餡をこねたりといった作業は、男性でもかなり体力を使います。体力や健康面から見れば、女性にとっては厳しい世界であるといえるでしょう。

もちろん、和菓子職人に女性が向いている点もあります。和菓子の魅力は、味だけではなく、見た目から季節を感じられる美しい色合い、繊細に表現された形にあるでしょう。そういった表現において、女性ならではの手先の器用さや感性は、和菓子職人に向いているといえます。

また、和菓子の消費者は女性が圧倒的に多いでしょう。そのため、女性消費者の視点に立った味や見た目、低カロリーな新商品を開発するなど、女性の和菓子職人のアイディアが有利なのです。

和菓子職人のやりがい

いつも和菓子に触れられるというのが和菓子職人の喜びです。また、季節を一歩先取りした和菓子を創る喜びももちろん味わえます。一方で、休みの日も、茶道や華道などの習いごとをして感性を磨き、自然に触れて季節の移り変わりに敏感になるといった努力も必要です。

つまり、職場以外の場所でも和菓子のことを考え、自主的に学習したり、練習したりする時間を持たねばなりません。そして、なんといっても長い年月がかかる修行の日々は、好きとはいうものの、ひたすら苦心して覚えるしかないことがたくさんあります。そこをどう乗り越えるかが問われるのです。

和菓子職人の給料・年収は?


和菓子職人の給料は、和菓子屋さんによっても異なりますが、企業やある程度の規模の店の場合、年収180万~600万円が相場です。初任給は14万円ほど。技術を身に付けて独立、人気店になると年収1,000万円を超えるのも夢ではありません。

有名な和菓子職人といえば

世界的に活躍している和菓子職人といえば、創業40年を越える老舗「一幸庵」の創業者であり和菓子職人である「水上力」さんが挙げられるでしょう。海外でも多数講演会を開いたり、有名なパティスリーともコラボレーションを行ったりして、国際的に活躍している数少ない和菓子職人です。日本の中でも和菓子が洋菓子にシェアを奪われつつあることに危機感を抱き、日本が誇る和菓子文化を世界に発信し続けています。

水上力さんがクラウドファンディングの仕組みを使って出版した「IKKOAN BRAND BOOK」は、72候を表現した和菓子が掲載されており、世界中で評価されています。

和菓子職人求人の探し方

伝統的な和菓子店は、家族経営のような規模の営業形態が多く、大半が従業員10人未満のお店です。このぐらいの規模の職場では、充実した福利厚生は望めない場合がほとんどだといえるでしょう。

和菓子職人は、下積みを終えるのに10年かかるともいわれる業界。製菓学校を出て基本の技術を習得していても、実際に職場に入れば昔ながらの見習い修業からスタートするケースも多いにあります。そのため、体力的な負担や待遇などを理由に、修業の道なかばでやめていく人がいるのも現実です。そこからくる欠員の募集は、不定期で行われることも。

求人情報は、さまざまな求人サイトからも見つけられます。近年では、たいていの企業や店舗のオフィシャルサイトで採用情報を見られるでしょう。しかし、小さな和菓子店では、オフィシャルサイトをもっていない場合もあります。そのような場合は、店頭の貼り紙や知人の紹介など、昔ながらの求人方法をとっているケースもありますよ。また、製菓専門学校などを通じて求人が行われる場合もあります。”

奥が深い和菓子作り

長い修行時代はツラいことのほうが多いかもしれません。しかし、努力が実を結び、一人前の技術を身につけられたら、独立することも可能な和菓子職人の世界。そこまで行き着くには、和菓子が好きという気持ちに加え、続けていく強い意志が必要です。

和菓子は奥が深い日本の伝統文化の一つ。世界中で和食ブームが起こっている今、和菓子職人として世界で活躍することも夢ではないでしょう。”

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