帯留めとは
帯留めというのは、女性が和服姿のときに帯締めに通す飾りのことです。天然石や象牙、珊瑚、琥珀、鼈甲など様々な天然素材を用いるほか、蒔絵や螺鈿、カメオといった工芸品をあしらったものもあります。
サイズや素材など非常にバリエーション豊かですが、着物の格式や色柄などに合わせて使わなければならないため、複数用意しておくと便利です。季節に応じた帯留めを使うと、着物のときのおしゃれ感がより一層アップするでしょう。
帯留めの歴史
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帯留めの歴史は比較的古く、江戸時代後期には始まったといわれています。元々は、現在の帯締めの原型であった紐の中に留め具式のものがあり、紐は帯締めへ、留め具が帯留めへと発展していきました。
明治になると、帯締めに通すタイプの帯留めが出回るようになり、帯を固定する用途ではなく飾りとして用いられるようになりました。最初は男性が主に使用していましたが、やがて女性の間にも広まっていったのです。
さらに、この時期には廃刀令が出たことにより、刀装具を作っていた職人が帯留めを生産するようになりました。その結果、従来のデザインに刀装具のデザインや加工技術が加わり、職人の数が増えたこともあって、様々な素材やデザインが登場していきました。
帯留めのTPO①
帯留めOKのシチュエーション→着物、振袖、浴衣
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帯留めを使う時には、TPOに注意する必要があります。基本的には、着物姿の時には帯留めを使うことができますが、着物の格式やシチュエーションによってはつけられないこともあります。
留袖や色留袖、訪問着といったフォーマルな装いには、ダイヤやエメラルド、サファイアといったきちんとした宝石をあしらった帯留めが相応しいです。
一方、パーティーなどの社広義では、珊瑚や蒔絵、象牙などのデザイン性を考慮したものが使えます。
振り袖に関しては、着物が華やかなのでつけないことが多いですが、選ぶならおめでたいモチーフで、色柄に負けない大ぶりなものが良いでしょう。浴衣で帯締めを締めるときは、涼しげなガラス細工や夏の風物詩をあしらったものがお勧めです。
帯留めのTPO②
帯留めNGのシチュエーション→茶会、喪服
出典:写真AC
帯留めが使えない主なシチュエーションは、茶会と喪服です。茶会では、万が一にも固い素材の帯留めがぶつかるなどで道具を傷つける恐れがありますし、茶道では茶道具が最も美しくあるべきという考え方などから、帯留めは不要と判断されがちです。
喪服も、光るものはもちろん使えませんし、黒い石や数珠に使われるような素材であっても、必要のない装飾は不要とみなされがちです。地域によっては、一部の素材やデザインは認められることもありますが、年配の人からはどのような素材でもタブーとされやすいため、避けたほうが無難でしょう。
帯留めテクニック
出典:写真AC
今日の帯留めは、留め具などを使わずに、帯留めの裏側に二か所ついている金属製の輪の部分に帯締めを通して使います。まず、帯締めを帯留めの金具に通し、帯の上から結びます。結び目はお太鼓の中に隠すように回し、帯留めを正面に整えると完了です。
しかし、このつけ方では、帯締めが緩いと帯留めが移動することもあります。そのため、金具の間で帯締めを1回結んだり、クリップ式の金具で帯留めを固定したりするテクニックがあります。正面から見ると全く気付かれませんので、帯留めが移動して困るという人は一度挑戦してみましょう。
また、自分が持っているブローチを帯留めに代用することもできますし、箸置きやインテリア小物などに帯留めの金具をつけて使うなど、様々なものがアイデア次第で帯留めになります。