沖合漁業よりも遠いところで大規模に魚を獲る遠洋漁業
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沖合漁業と遠洋漁業の違いは、主に漁場までの距離です。 なので、必然的にそこから派生する色々な事情が異なってきます。 遠洋漁業は、沖合漁業の更に外側の海で行われる漁です。
ニュージーランドや赤道直下の海域など日本の経済水域の内外とその範囲も広いのですが、近年の各国が経済水域を定める動きの影響でその漁獲量は減少傾向にあります。
漁の期間は数ヶ月から一年以上と長期に渡り、一度の漁に必要な船の燃料などの費用もより多く必要とします。このため、遠洋漁業では大型船を使い、マグロなどの単価が高い魚を対象とした大規模な漁を行います。
一方、沖合漁業では、大衆魚を中心とした広範囲の魚を対象にしています。遠洋漁業と比較して、その種類や漁場に合わせた多様な漁法や漁船が存在していることも大きな違いと言えるでしょう。
こうした点は、沿岸漁業との違いについても同様のことが言えます。 沿岸漁業は5~10トンくらいの小さい船行業を行います。その地域の沿岸で漁獲するためその地域ならではの魚が捕れます。
養殖業も沿岸漁業に含まれます。つまり、沿岸漁業と遠洋漁業の間を、距離的にも漁獲物的にも広くフォローする形で存在しているのが沖合漁業なのです。
沖合漁業の漁獲方法①
沖合底曳き網漁
カレイ・ホッケ・カニなど多彩な魚介類を捕まえる漁の方法です。
日本の近海は、寒流と暖流がぶつかり合う漁場が多く、魚にとっては非常に魅力的な海流である。寒流と暖流がぶつかり合う漁場は、栄養豊富なプランクトンが生息しやすく、魚が寄ってきやすい。沖合底曳き網漁は、そんな魚を捕まえる方法です。
深いところでは、水深1,500メートルにも及ぶところに網を垂らして、漁を行います。一艘で行う場合は、ブイを利用して、網の片方を止めて、もう片方を船で引きながら漁業を行います。
ほかには、二艘で行う場合があります。二艘で行う場合は、網の両サイドを船にくくりつけ、船同士を平行にし船を移動させて魚を捕獲します。
沖合漁業の漁獲方法②
サンマ棒受け網漁
夜間に行う漁で、光(集魚灯)に集まってきたさんまを捕まえます。
魚が光に集まる習性を利用した棒受け網漁は、安定的に魚を捕獲する方法として、注目されています。もともと日本で生まれた漁法で1930年代から行われています。サンマ棒受け網漁と言われていますが、さんまだけでなく、たらやおきあみなども捕獲するのに利用されています。
夜間に行う漁であるため、漁には夕方に漁港を出て沖合を目指します。沖合にでたのちサンマ棒受け網漁を開始します。サンマ棒受け網漁は、沖合で光を使用して魚を集める方法なので、魚を傷つけずに済みます。また、エサを用意する必要がないため、経済的な漁で魅力てきです。
沖合漁業は日本の漁業を支えている!
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沖合漁業は、国内における総漁獲量の半分以上を占めています。 これは沿岸漁業と遠洋漁業の中間にあるその立ち位置によるところが少なくありません。 なので、他の漁業と比べて海況や漁況にともなう漁獲高の上下の振れ幅が自然と大きくなってきます。
近年は漁獲量に制限があるため、たくさん捕ることはできないですが、沖合漁業は、漁業の中心を担っています。200海里の排他的経済水域内で行う漁なので、日本のように排他的経済水域が多い国にとっては重要な漁といえます。
特に近年では主な対象である青魚などの大衆魚の減少などの影響を受けていますが、中小企業の参入が多いこともあって、現在も日本の食卓を支える中心を担っています。
恵まれた日本の風土を活用!沖合漁業は日本の基盤
普段、海の上で行われている漁業は多くの人にとって未知の部分が多い職業の1つです。ですが沖合漁業は、マグロ、エビ、カニなど私たちの大好物の筆頭に挙げられる魚介類のほとんどを賄ってくれています。
四方を海に囲まれている日本は、古くから海の幸に恵まれた土地です。 そうした背景に培われてきた食文化の中にあって、漁業は欠くことのできない我が国の大事な基盤なのです。