「韋駄天(いだてん)」の意味や使い方|神様の名前がその由来

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「運動会のリレーでは、アンカーの生徒が最下位からトップに躍り出ていた。まさに韋駄天のようだった」というようなときに用いられる、「韋駄天」という言葉をご存知でしょうか。韋駄天という単語自体は聞いたことがあっても、元々日本の言葉ではないということもあり、漠然としか知らないという方がほとんどです。

韋駄天という言葉は、普段文章に組み込んで使うことはあまりありませんし、それだけに、正確な意味や由来を知る機会もほとんどないでしょう。そこで、こちらでは、韋駄天という単語がどのような意味を持っているのか、また、その由来や使い方などについてご紹介していきます。

韋駄天の意味


出典:写真AC

韋駄天という言葉の意味は、足が速い人、あるいは、特別に速く走る様子を表しています。もともと、韋駄天という言葉は足が速い神の名前から来ていますので、漢字からこの意味を想像することは困難です。

もちろん、本来の意味で僧や寺院の守護神として用いることもありますが、文脈から足が速いという話の内容で、「韋駄天のように」や「韋駄天走り」など、例えとして使われている場合には、前者の足の速さを表す意味で用いられていると考えて良いでしょう。

韋駄天の由来 ・言葉の背景

韋駄天という言葉の由来は、バラモン教の神の名から来ています。韋駄天は破壊神シヴァの二男で、仏法に取り入れられてからは四天王である増長天に従う八代将軍の一角として、仏法や寺院を護る守護神になりました。

韋駄天の説話の中に、鬼が釈迦の遺骨(仏舎利)を盗んで須弥山に逃げた際、走って一瞬で仏舎利を取り戻したといわれています。ここから足の速い人を韋駄天、早い走り方のことを韋駄天走りというようになりました。その後、単純に韋駄天でも、走るのが速い様子を表すようになったのです。

韋駄天の例文を紹介


出典:写真AC

韋駄天という言葉は、普通の足の速さ程度では使われることがありません。元々、韋駄天が仏舎利を取り戻した時は、一瞬で1280万kmを駆け抜けたといわれています。そのため、目を見張るような極端な足の早さを見せつけられた時に使うようにしましょう。

例えば、「昨日の陸上大会では、スタートの合図が聞こえたと同時に一人だけ頭一つ飛び出している選手がいた。しかも、並み居る強豪選手が相対的にカタツムリに見えるほど足が速く、堂々の一位だった。あれこそ韋駄天のような走りだ」というように用います。

また、走る様子を表すときに用いる場合には、「その男から逃げるため、彼女は持てる力を発揮して全力で逃げた。普段はそれほど足が速いとは思えなかったが、あの時の彼女の速さはまさに韋駄天(走り)だった」というように使います。

韋駄天の類義語・対義語


出典:写真AC

韋駄天は特別に足が速い様子を表していますので、正確な類義語というのはほとんどありません。ただ、意味合いとしては神のように(人外のレベルで)速いという意味である「神速」や、足が速いことを表す「俊足」などが近いといえます。

ただ、俊足は普通のレベルで足が速いという意味に使われることが多いですし、神速は走ることに限っているわけではありませんので、全く同じとは言えません。

一方、対義語は足が遅いことになるため、「鈍足」などが該当します。韋駄天の対義語となると、こちらも人外レベルで足が遅いという意味になりますが、こちらも正確な対義語はありません。

神の名である韋駄天

韋駄天という言葉からは、神のごとき特別な足の速さであることが窺えます。特にずば抜けた能力を持っていることを表すとき、一つの単語ではなかなか正確に表現することが困難ですが、韋駄天という言葉は神の名であるにもかかわらず、その背景から足の速さが飛びぬけていることがわかるのです。

このように、説明なしに独特の意味を持つ単語というのは、由来を知って初めて意味が理解できることが多いです。2020年に開催されるオリンピックではまさに韋駄天走りを目にすることができそうですね。

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