い草とは、漢字で「藺草」とも書きます。単子葉植物イグサ科の植物です。別の名前は「トウシンソウ」(燈芯草)とも言い、畳の表部分を作るときに使います。標準的な和名は「イ(藺)」で、もっとも短い和名としても知られています。
8月に苗床からいいものだけを株分けし、12月の寒冷期に植え、翌年7月に刈り取ります。そのうえで「天然染土」という泥に漬け込み、乾燥する作業をおこないます。このことで畳独特の香りを引き出し、変色を防いで色つやも増すことができるのです。
畳に使うのは、茎の先端と根の部分はカットした中央部分です。畳表1枚を織るのには4000~7000本のい草を使いますが、刈り取りしてすぐ使うのでなく、品質・長さ・色合いなどを十分に分別してから織機で織り上げます。
い草の産地・特徴
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い草の産地は主に、熊本県八代地方です。国内の畳表の8~9割を誇るシェア率であり、そのほかの産地では、大分・佐賀・福岡・石川・岡山・広島・高知などがあげられます。
西日本で大部分が作られていると言っていいでしょう。湿原や浅瀬に生息する植物で、泥の中に根を張ります。
茎は地下茎になっており、花は緑色で目立たないですが、6枚の花被がありきちんと花の形をしています。またい草の茎は帽子や枕の素材でも使用されますが、品種は「コヒゲ」という栽培用のものであり、野生種より花の部分は小さく、水田で作られます。
食べるい草がある?
実は食べるい草があることを知っていますか?お料理や飲み物に入れるだけで手軽に栄養素が摂取できる「いぐさ野菜」という商品が販売されています。さまざまなメディアで取り上げられていて、いま話題です。産地はもちろん熊本県八代市。化学肥料・薬品は一切使わず、自然にも優しい方法で作り上げたい草は、ほのかな甘さが魅力です。
ビタミンやミネラル・アミノ酸をはじめとしてなんと37種類もの栄養素がありますが、特に女性は積極的に摂るべき「葉酸」が豊富に含まれています。食物繊維も豊富で、100g中70g以上の含有量で、野菜の中でも上位と言えるでしょう。ですから日ごろ野菜不足やお通じに悩んでいる方にもおすすめです。
カフェインレスなので、妊娠中の方でも安心して召し上がれます。使い方は粉抹茶と同様で、小麦粉・てんぷら粉などに混ぜても色が鮮やかになりますし、魚や肉の下ごしらえで使えば生臭さが消え、肉がやわらかくうまみが増します。
そのほかい草胡麻ふりかけや、い草が練りこまれたもちもち食感が人気の手延べ麺もそうめん・うどんなど種類豊富に販売されています。木箱に入っているタイプもありますので、ギフトとしても最適です。
畳に使われるい草:七島藺表
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畳に使う植物として、有名なものは「くにさき七島藺」です。このい草を使って作られる畳表は、通常のい草と比べても5~6倍の強度があり、2倍以上の耐焦性(たばこの火などに対する強度を示す)があります。
柔道用の畳はもちろんのこと、炭鉱住宅や囲炉裏のある農家などでは重宝されてきました。
普通の畳表とくにさき七島藺表では織り方も違いがあります。一般的には1目に2本糸が入る織り方に対し、くにさき七島藺表は1目に1本だけ糸が入る織り方で、ざっくりした粗い織り目になります。その分均一な美しさはありませんが、より自然に近い風合いが感じられると言われています。
い草と畳について
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い草と畳についてまとめてきましたが、い草は熊本県八代地方が生産地として多くの部分を占めており、とりわけ「くにさき七島藺」を使用したものが、独特の風合い・強度を持ち、すぐれた畳として好まれていることもわかりました。
畳の原料はい草と知っている方も、「食べるい草」があることを知っている方は実は少なかったのではないでしょうか。
各種栄養素が豊富に詰まっており、いろいろなお料理に使えるということですから、興味のある方はぜひ販売サイトに行って詳細を確認してみて下さい。