「東奔西走(とうほんせいそう)」の意味や使い方|右往左往との違いは?

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【意味】 目的の達成や仕事を処理するために、忙しく走り回る。
【由来】
【類語】
【対義語】
【英訳】

事業の資金集めに東奔西走した。 「東奔西走」という四字熟語は例えばこのようなときに用いられます。 また、読み方は「とうほんせいそう」ですが、稀に「とうほんせんそう」と間違えて読まれる場合があるので注意しましょう。

ここではそんな東奔西走の意味や由来、使い方などをご紹介します。

東奔西走の意味

東奔西走とは、目的の達成や仕事を処理するために、忙しく走り回るという意味があります。 ちなみに東奔西走を英語に訳すと「busying oneself about something」や「being on the move」といったものになります。どちらにも、目的のために忙しく動きまわるといった意味があります。

東奔西走の由来 ・言葉の背景


出典:写真AC

東奔西走という四字熟語に含まれる「奔」という文字、「走」という文字には、いずれも走るという意味があります。 さらに「奔」はもともと「止」という字を三つ組み合わせたことで、より速く走るという意味を持っています。

似た言葉に「奔走」がありますが、これは、物事を実現させるために走り回って努力するという意味で、東奔西走と類似しています。 そして、「東西」には、広い範囲や地域という意味があり、広範囲を飛び回ったおかげでよい結果が得られそうだ、という時に用いられるのが東奔西走なのです。

また、東奔西走はある程度目的が達成されている場合に用いられる熟語なので、例えば仕事における上司からの理不尽な命令や、突然のトラブルによってうろたえて走り回り、結果がともなわないような場合には用いられません。

このように目的が達成されないような場合には、東奔西走ではなく「右往左往」という熟語を用いるのが適切です。右往左往は、「何をしてよいかわからずにあたふたしている」様子や、「うろうろと歩きまわったり走り回ったりしたものの、うまくいかなかった」様子を表していて、東奔西走とは若干意味が異なります。

これに似た言葉では、「てんてこまい」や「きりきりまい」があり、どちらもとにかく忙しくてあたふたしている様子や、忙しすぎて手が回らないという様子を表すもので、目的が達成されたときに用いられる東奔西走とは異なる言葉です。

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東奔西走が使える場面

具体的にどんな場面で使われるのでしょうか。東奔西走は結果を伴う場合に用いられる四字熟語なので、次のような使い方をします。

「人事異動で製造部門から営業部門に配置転換となり、ノルマを達成するために東奔西走した」 「新たなプロジェクトを成功させるために、メンバー全員で東奔西走している」

どちらも忙しく働いている様子ではありますが、結果が伴わず空回りしている状況ではないのがわかります。

東奔西走の類義語・対義語

東奔西走の類義語としては、「南船北馬」がありますが、例えば次のように用いられます。 「中国は南船北馬と言われる通り、今もなお長江などの運河が交通の大動脈となっている」 すぐに気が付くのは「東西」ではなく「南北」が使われていることです。

南船北馬は中国で生まれた熟語ですが、古来中国では、南部に川や湖、池、沼などが多かったため、船による移動が中心でした。かつて中国では水軍が強さを誇っていたのもこのためです。 一方、北部は山岳地や平野、平原が多く、馬が主要な移動手段でした。

南船北馬は南や北を船や馬で移動するということから、各地を旅行したり、忙しく動き回ったり、といった意味で東奔西走と同義に用いられています。

また、東奔西走には明解な対義語がありませんが、結果を伴わず動き回るという点で、意味合いの異なる熟語として、上記の右往左往があります。

東奔西走の意味から学べること

東奔西走は、ある程度目的が達成されそうな場合に、確実な方向性を持って用いられる四字熟語です。無理難題やアクシデントで、うろたえて足りまわっているような場合には使われないので、細かなニュアンスも理解して用いることが大切です。

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