【意味】 | グッスリと眠ってしまい何が起こっても気付かない状態。本当は知らないのに知ったかぶりをしている様子。 |
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【由来】 | ある男が知ったかぶりをした故事から。 |
【類語】 | 熟睡する・眠りこける・死んだように眠る・泥のように眠る/薀蓄もどき・能書きを垂れる・耳学問・訳知り顔 |
【対義語】 | 輾転反側(てんてんはんそく)・不眠不休・夜を徹して/「造詣(ぞうけい)が深い」や博識である・博学強記・博学広才・博学偉才 |
【英訳】 | ー |
現代の日常会話で登場することが余りない言葉でも、会話に上手に織り込むことで会話がグッと締まったり、深みが出る粋な言葉や言い回しが日本語には存在します。白河夜船(しらかわよふね)もそんな言葉の一つだと言えるでしょう。
漢字では白河とも白川とも表記される言葉で、どちらを用いても問題ありません。「住まいの近くでパトカー数台が臨場する大きな捕り物があった様だが、私は白河夜船でご近所の噂話を耳にするまで全く知らなかった」や「海外各地を旅したと豪語する彼の話は白河夜船で聞いていられない」などの用い方ができる言葉です。
白河夜船の意味
白河夜船という言葉は「グッスリと眠ってしまい何が起こっても気付かない状態」を表す場合と「本当は知らないのに知ったかぶりをしている様子」を指す、2つの意味をもつ四字熟語です。
全く異なる意味を表す白河夜船ですが、この四字熟語が作られた由来を知れば2つの異なる意味を持つ四字熟語が生まれたユーモラスな経緯が判ります。
グッスリと眠ってしまい何が起こっても気付かない状態や、本当は知らないのに知ったかぶりをしている様子を、白河夜船という4文字で言い表した日本人の言葉に対する研ぎ澄まされた感覚や遊び心には感心すること然りです。
白河夜船の由来 ・言葉の背景
京都の賀茂川から東山の間の地域はかつて白河と呼ばれていました。
実際に訪れた訳でもないのに京都見物をしてきたと自慢げに嘘をついていた男に、ある人が「白河はどうだったか?」と訪ねたところ、男は白川という名前の川のことを聞かれたと勘違いし、咄嗟に「白川を船が通過したのは夜のことだったから良く判らない」と答えてしまい、嘘がバレてしまいます。
この故事から「グッスリと眠ってしまい何が起こっても気付かない状態」や「本当は知らないのに知ったかぶりをしている様子」を表す白河夜船や白川夜船という四字熟語が生まれたと伝えられています。
白河夜船の使い方
出典:Pixhere
異なる2つの意味を持つ白河夜船ですが、具体的には次のようなシチュエーションに用いることができます。
まずは一つ目のグッスリと眠ってしまい何が起こっても気付かない状態を表す場合は「ウチの子供は旦那に似たのか1度寝付くと白河夜船だから手が掛からなくて楽なものよ」や「家の鍵を落として帰宅したものの妻は白河夜船だから結局朝まで玄関先で過ごすハメになって参ったよ」などと用います。
次に、本当は知らないのに知ったかぶりをしている様子を指す場合は、「あの人の話は白河夜船だから当てにならない」や「彼から教えてもらった情報を当てにした旅行だったけれど、全くの白川夜船で旅先で苦労させられた」などと用いることができます。
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白河夜船の類語・対義語
グッスリと眠ってしまい何が起こっても気付かない状態を表す場合の白河夜船に対する類語には、「熟睡する」や「眠りこける」、「死んだように眠る」、「泥のように眠る」などの言葉が該当すると言えるでしょう。
対義語には寝付くことができず何度も寝返りと打つ「輾転反側(てんてんはんそく)」や「不眠不休」や「夜を徹して」などが存在します。
本当は知らないのに知ったかぶりをしている様子を指す場合の白河夜船に対する類義語は 「薀蓄もどき」や「能書きを垂れる」、「耳学問」、「訳知り顔」などネガティブな表現が多いのは致し方ないでしょう。逆に対義語には「造詣(ぞうけい)が深い」や「博識である」、「博学強記」、「博学広才」、「博学偉才」などが該当します。
2つの意味を持つ白河夜船
出典:Pixabay
白河夜船が表す2つの意味のうち、グッスリと眠ってしまい何が起こっても気付かない状態を表す物に対しては、睡眠という生理現象を心地良く満喫している状況が連想され何処かユーモラスな印象を受けます。
一方で本当は知らないのに知ったかぶりをしている様子を指すものに対しては、抵抗感を感じてしまいます。他人から白河夜船だと言われないように、知ったかぶるのは止めたいものですね。