【なし崩し】間違いやすい日本語の意味や正しい使い方|例文も紹介

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

「なし崩し的に事を進めていく」といった文章を目にしたことはありますか?

この例文で使われている「なし崩し」という言葉を目にしたり耳にする機会はよくあるとは思いますが、その意味をしっかりと理解している人は意外に多くはないのではないでしょうか。 「なし崩し」という言葉の意味やその由来などを紹介していきましょう。 

なし崩しの意味


出典:写真AC

「なし崩し」という言葉は、「ものごとなどを徐々に進めて片づける」ということを意味しています。

よく、「雰囲気や勢いに任せて」という意味や、「うやむやにして」という意味で「なし崩し」という言葉が使われている場面を目にしますが、本来こういった意味はありませんので、「なし崩し」という言葉を使う際は注意してください。

なし崩しの由来 ・言葉の背景

「なし崩し」という言葉の意味は先述の通りであり、「少しずつ」という言葉に言い換えることができます。間違った使い方で使ってきた人にはピンとこないかもしれませんが、ここでイメージしやすいように「なし崩し」という言葉の語源や由来に触れてみましょう。

「なし崩し」という言葉は、本来「済し崩し」と書きます。つまり、元々は借金の返済に関する言葉だったわけです。 借金を少しずつ返済していき、完済に向かっていく様子を表す言葉として使われていたことが転じて、ものごとを進める様子を表す言葉として使うようになりました。

こうして語源を見てみると、「なし崩し」という言葉が「少しずつ」と言い換えることができるのもイメージしやすいでしょう。

なし崩しの例文を紹介


出典:写真AC

「なし崩し」という言葉が「少しずつ」として言い換えられることをイメージできるようになったところで、「なし崩し」という言葉を使う場面を見てみましょう。 まずは、冒頭で紹介した「なし崩し的に事を進めていく」という文章を見ていきます。

この例文は、仕事上のプロジェクトやプライベートでのリフォーム計画など、自分やチームの立てた計画について、計画の終着点に向かって一つずつ着手し、手を進めていく様子を指した文章になります。

もう一つ違う場面で使う例文として、「労働環境がなし崩しに悪化する」という文章も見ていきましょう。 この文章の場合は、終着点は見えませんが、自分あるいは周囲の労働環境が徐々に悪くなっていく様子を指しています。

後者の例文では、「成り行きで」といった間違った意味として使われる「なし崩し」と近い使い方でもありますが、あくまでも「少しずつ」悪くなっている様子を指しています。

「なし崩し」という言葉に含まれる「崩す」という単語にマイナスイメージを抱く人もいると思いますが、実際には良い意味でも悪い意味でも使うことができる言葉になります。

なし崩しの類義語・対義語

「なし崩し」という言葉の類義語と対義語を紹介していきましょう。 まずは類義語から見てみましょう。すでに紹介しているように「少しずつ」や「徐々に」という言葉が分かりやすいでしょう。

他には「じわじわと」といったように変化に時間がかかる様子を表す言葉が類義語にあたります。 次に対義語についてみてみましょう。「急速に」といったように、ものごとの変化のスピードが速いというイメージを持てる言葉が対義語にあたります。

なし崩しを正しく使う


出典:写真AC

「なし崩し」という言葉の意味や語源、文章中での使い方などを紹介してきましたが、皆さんが知っていた「なし崩し」の意味は間違ってはいなかったでしょうか?

「なし崩し」という言葉は本来借金の返済に関する言葉である「済し崩し」が由来になっていますが、こうして語源や由来を正しく理解すると、本来持っている意味がイメージしやすいことでしょう。

また、字面からマイナスイメージを抱きがちになってしまいますが、本来はどちらの意味でも使える言葉です。そのイメージからか、間違った意味で使われることが多い言葉であるのもまた事実です。 実際に「なし崩し」という言葉を使う場面もあると思いますが、その時には間違った意味ではなく、正しい意味で使うようにしましょう。

日本人なら知っておきたい国語の知識「国語」の記事一覧

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

関連するキーワードから探す