【秋から冬にかけてふる時雨】天気雨を意味する「時雨」の由来とは

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私達が住む日本の気候は、世界的にみて降水量が多いことから、日本語の「雨」を表す言葉のバリエーションは非常に豊かなものです。梅雨や秋雨など、さまざまな雨を表す言葉があります。 その一つに「時雨」という言葉があります。 「時雨」は「しぐれ」または「じう」と読みます。

「時雨」が付く言葉としては「蝉時雨(せみしぐれ)」などがありますが、この「時雨」という言葉、元来どういった意味でどの季節に使われる言葉か意外に知らないものです。 そこで、「時雨」の意味や由来について調べてみました。

時雨の意味


出典:写真AC

陰暦の10月は「時雨月(しぐれづき)」と呼ばれています。このことから分かるように「時雨」が意味する季節は、晩秋から冬の始めとなります。その時期に晴れや曇を繰り返して、一時的に降っては止んだり、また降り出したりする通り雨のことを「時雨」と呼びます。

なお、俳句などで「時雨」は冬の季語として使われています。その代表的な俳句の一つに松尾芭蕉が詠んだ、「初しぐれ猿も小蓑をほしげなり」 というものがあります。

この俳句の意味は「冬になって初めての時雨が降ってきた。猿も冷たい雨に濡れて寒そうにしており、小蓑を欲しがっているようだ。」というものであり、寒い季節の始まりを感じさせてくれます。

また「春時雨」という言葉もあり、こちらは春の降ったり、止んだりする一時的な通り雨を意味しています。

ちなみに、「蝉時雨」は、蝉がたくさん鳴いている様を時雨の雨音に例えた言葉となります。

時雨の由来 ・言葉の背景


出典:写真AC

「時雨」の語源には数多くの説がありますが、定説となるものは実は解っていません。「アラシ」などで用いられている、「シ」という言葉は「風」を意味することから、突然の強風になる様子を表して「シクルヒ(風狂い)」が語源とする説や、一時的な通り過ぎる雨という意味で「スグル(過ぐる)」が語源とする説もあります。

一時的に暗くなることから、「しばらくの間暗い」の意味の「シバシクラキ」や、「茂暗」の読みである「シゲクラキ」などとする説などのほかにも、方言が語源となった説など本当に色々な説があります。

なお、日本最古の和歌集である「万葉集」の中にも、「シグレ」や「シグレノアメ」という言葉が見て取れます。

時雨煮との関係性

「時雨」と聞いて真っ先に思い浮かべる食べ物の一つに、「時雨煮(しぐれに)」があります。 時雨煮といえば、元々は三重県桑名市名産のハマグリを調理した佃煮の「時雨蛤(しぐれはまぐり)」の事でしたが、今では牛肉や魚介類などに生姜を加えて調理される佃煮全般を指すようになりました。

時雨煮の名前の由来は、口に入れたときに、まるで時雨のように色々な味わいが口の中を通り過ぎていくことを意味し、時雨の降る季節がハマグリの旬の時期である晩秋から初冬と重なることなどです。また、調理時間が短い様子を時雨の一時的な通り雨に見立てて名付けられました。

例えば、牛肉の時雨煮の作り方は千切りにした生姜を、ごま油でフライパンなどで炒めて、その後に牛肉を炒めます。全体に油がまわったら、砂糖とみりん、それに料理酒を加えて、強火で約5分炒めます。

十分に牛肉に味がしみ込んだら、醤油を加えて水気がなくなれば完成となります。非常に手短で簡単ですのでぜひ作って見てください。お弁当のオカズにもピッタリですよ。

日本人の風情を感じる時雨


出典:写真AC

日本には四季というものがあります。その四季の季節の中で実に様々な雨が降ります。そうした季節ごとの雨をただ単に「雨」とは言わず、冬の始まりに降る通り雨を「時雨」とした言葉を当てはめ表現する感覚には、日本人の風情を感じずにはいられません。

そう考えると、時には言葉が持つ意味を調べて知ることで、日本語の美しさを改めて見つめ直すのも良いのではないでしょうか。

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