「予想していた通りの結果で思わずほくそ笑む」というような笑いを表現する言葉はいくつかありますが、「ほくそ笑む」という言葉の意味や由来をご存知ですか?
【意味】 | 自分が計画していたり、狙っていた通りに物事が進んだ時に、人知れず笑みを浮かべること。 |
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【由来】 | 北叟(ほくそう)は、喜んでいる時も憂う時にも少し笑っていたという故事から。 |
【類語】 | 「ニンマリする」「ニヤける」「ニンヤリ笑う」 |
【対義語】 | 「愉快に笑う」「機嫌よく笑う」 |
【英訳】 | ー |
ほくそ笑むの意味
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この「ほくそ笑む」の意味は、簡単にいうと一人で「にやりと笑う」「こそこそ笑う」「ひそかに笑う」ということです。ただ、これは顔の表情の話で、この笑みの裏には心理的な要素が含まれています。
最初から自分が計画していたり、狙っていた通りに物事が進んだ時に、人知れず笑みを浮かべるというという行為が「ほくそ笑む」ということです。 感情的な要素が多く含まれており、無意識に表情に出てしまう笑みでもあります。
基本的には他人と同調して笑うということではなく、自分一人で笑う様子であり、声を出して笑うことはありません。 笑うという漢字が用いられていますが、実際には表情や態度を表す用語と考えた方が本来の意味に近いです。
ほくそ笑むの語源
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ほくそ笑むの「ほくそ」は中国の「北叟」が語源と言われています。 北叟とは、中国の北方で砦に住んでいたとされる塞翁のことです。
北叟は、喜んでいる時も憂う時にも少し笑っていたという故事があります。そこから生まれたのが「ほくそう笑む」という言葉で、それが転じて「ほくそ笑む」になったとされています。 室町時代の「源平盛衰記」にも「ほくそ笑む」の例が見受けられます。
ほくそ笑むの使い方
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自分の試験勉強が上手くはかどり、おまけにヤマが当たった時などは「テストの点数が予想以上の結果でほくそ笑む」という使い方が出来ます。
一方、友人が試験勉強もせずに遊んでばかりいて、結果としてテストの点数が悪かった時などは「勉強を怠った友人の点数を見てほくそ笑む」といった使い方も出来ます。
会社での業績によってもほくそ笑む場面は出てきます。自分の仕事ぶりや会社の業績がイマイチと思っていた時に「想像以上のボーナスで思わずほくそ笑む」ということもあります。
このように、ほくそ笑む場面としては物事が上手くはかどった時だけでなく、人の結果が悪い方向性に向いてしまった時にもほくそ笑む場合があります。また、結果が想像とはかけ離れたものになった時にもほくそ笑むことがあります。
ほくそ笑むの類語・対義語
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ほくそ笑む時には、基本的に自分の内面を素直に表現していない場合が多いです。 そんな笑みの類義語としては、物事が思い通りに進むときの表現として「ニンマリする」「ニヤける」「ニンヤリ笑う」などがあります。
また、相手をバカにするような時にも使用するため、「失笑する」「嘲笑する」といった言葉も類義語にあたります。 逆に対義語としては、自分の内面を素直に表現する「愉快に笑う」「機嫌よく笑う」などがあります。
ほくそ笑むから学ぶ
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ほくそ笑む表情には、その人の内面が表れています。多くの場合には一人で笑うため、他の人に気付かれることは少ないです。 長所としては、自分の進めている計画が上手くいった時に他言することなく、自分の中で満足できるという点です。
そのため、他人に自慢するような行為や発言が控えられ、周りとの調和を保つことが可能になってきます。 短所としては、他人の失敗を失笑することにもなるため、心の中で相手をバカにしてしまう心が生まれてしまうことです。
結果的に相手を見下すことになるため、いずれは周りに見抜かれ人間関係に悪影響を与えかねないこととなってしまいます。 どちらの要素でも無意識のうちにほくそ笑むことはありますが、自分の気持ちを他人の気持ちに当てはめたような生き方をしていくことで、素直な笑顔が生まれてきます。
また、ほくそ笑むにしても相手を蔑むような笑みは自然と出なくなって、良好な人間関係を保てるようになります。自分の中で満足しほくそ笑むことで良好な人間関係を築いていきたいものですね。