日本にも自生する竹は、アジアを起点にいまや世界に知られる植物になりました。
そんな竹の硬質さを日本人は昔から利用し、さまざまな竹細工を作り、生活の知恵にしてきました。日本文化と仲良し、そんな竹の種類と魅力を紹介します。
竹は日本人の生活備品にかかせない植物であった?
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竹の種類の前に、竹とはどういうものなのかご紹介します。
現在竹は世界的に生息しますが、もともとはアジア原産の植物であり、兵器などにも利用されてきたものになります。竹という素材は極めて強固であり、そのうえ柔軟性も兼ね備えており、多くの加工品に活用されています。
中は空洞ですがとにかく外皮ともいえる部分の密度が高く、強靭な硬度を誇ります。しかし工夫次第では柔軟性を保ったまま加工することもでき、竹カゴや簾、梯子などにも使われています。住宅の設備として活用されていたこともありました。
竹の植物としての最大の特徴は、やはりその成長速度でしょう。特に竹林など密集して生えている場合、光を強く求めてどんどん上に高くなってきます。地下茎によって繁殖していき、家が近くにありますとそこに影響を及ぼすほどに範囲を広げていきます。強く根を張りすぎて、家の土台を盛り上げてしまうこともあるのです。
加工できる竹の種類は少ない?竹の種類を紹介
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実は竹には多くの種類があります。世界で見れば1300種類はありますし、日本だけでも600種を越えるのです。
しかし種類はともかく、実用性がしっかりとある竹は多くありません。加工して工芸品などにできるような竹はそうそうないのです。
例えば真竹というのがあります。日本の竹の中で最も竹材料として優れているものになります。或いは、孟宗竹というのもあります。これもかなり有名な竹の種類といえます。かなり厚みがあり、日本の竹の中では最も大きく育つものになります。これらの竹は工芸品などの材料に利用することができます。
有名な竹の種類とは
虎斑竹(トラフダケ)
虎斑竹(トラフダケ)は高さ10~15m、直径は3~10cm程度になる竹です。この虎斑竹は、高知県の安和の竹林(ちくりん)にのみ育ちます。竹に熱を加えると、虎模様がでる様子から虎斑竹とついています。
虎模様がでる理由は、竹が生えている土の中に細菌がいて、その細菌が影響しているとも言われている。しかし、安和の竹林でした育たないのかは未だ解明されていません。
淡竹(ハチク)
淡竹(ハチク)は、虎斑竹と同じように高さ10~15m、直径は3~10cm程度になる竹です。竹全体が粉を吹いているように白くなっていることから淡竹と呼ばれていると考えられている。
寒さに耐性があり、細く割れるところから抹茶を立てる際に使う茶筅(ちゃせん)や、提灯(ちょうちん)の骨に利用さています。
真竹・苦竹(まだけ)
真竹・苦竹(マダケ)は、高さが10~20m、直径5~15cm程度になる竹です。節と節の間が長い竹の種類です。非常にしなりがあり、竹製品や竹細工、竹を利用した工芸品の材料として利用されています。
孟宗竹(モウソウチク)
孟宗竹(モウソウチク)は、中国の産地による竹で、孟宗にちなんでつけられました。原産は中国であるが、日本全国に生えているため、竹細工や竹しゃもじとして利用されていたりする。
亀甲竹(きっこうちく)
亀甲竹(キッコウチク)は孟宗竹が変異してできた竹です。地面から2~3mのところが亀の甲羅のようになっているので、亀甲竹と名前がつきました。
布袋竹(ホテイチク)
布袋竹(ホテイチク)は、高さが3~5m、直径3~4cm程度になる竹です。真竹の節と節の間が、布袋様(ほていさま)のように膨らんだように見える竹です。
黒竹(くろたけ)
黒竹(クロタケ)は、高さが3~5m、直径2~3cm程度の小型の竹です。渋い黒色のまま竹林に生えており、黒竹と呼ばれるのは、その所以からです。紫竹とも呼ばれ、竹細工に利用され主に観賞用で好まれています。
篶竹(スズタケ)
篶竹(スズタケ)は、高さが2m、直径1cm程度笹の仲間です。寒冷地に多くみられ、標高の高い山に生えている竹です。長く使用することで、艶(つや)がでて、魅力が増します。
煤竹(すすたけ)
煤竹(ススタケ)とは、自然に生える竹ではありません。藁葺き屋根(わらふきやね)の家で作れる竹です。どのように作られるかというと、藁葺き屋根の天井裏で長い間、煙に燻され(いぶされ)続けてうまれる竹です。ありとあらゆる竹の種類の中で、一番高価な竹です。1本数十万はくだらない竹で、流通量は少ないです。
蓬莱竹(ホウライチク)
蓬莱竹(ホウライチク)は、竹では珍しく、根を広げない竹です。株立ちと呼ばれる種類の植物で、川岸の護岸目的で多く利用されてきました。竹では通常、春に筍(たけのこ)が生えるが、夏に生えるのが特徴です。
花を咲かせる竹の種類とは?
竹といえば青く伸びた節、そして末端に茂る笹が容易に想像できますが、竹も花を咲かせることがあります。ただし一度花が咲いてから次に咲く準備ができるまでのスパンは非常に長く、孟宗竹では60年程度、真竹では120年程度とされています。
種類によって花を咲かせるためのスパンは違うのですが、竹の花自体が非常に珍しいことは確かであり、古くは凶事の前触れとされていました。
一斉に開花して一斉に枯れることから、開花病や十年枯病と呼ばれることもあります。実際にはただ花が咲いて枯れるだけで、特に病気ではありません。
竹は日本家屋に用いられていた?
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日本文化にも竹の存在は欠かせません。竹から作られる日用品もそうですし、茶道具などにも用いられることもありました。
かぐや姫の元ネタとしても有名な日本最古の物語である竹取物語では「野山にまじりて竹を取りつつ、よろづの事に使いけり」という文が出てきます。竹を取って様々なことに使っていた、というくらい、日本人は古くから竹とともに生活してきたのです。
日本家屋でまだ土塀を使っていたときには中に竹を入れることによって、強度を高める工夫もされていました。茶道のような日本文化の粋ともいえる部分にも使って、日用品としても使えるほど、種類に富んでおり、日本の文化を支えていた存在といえるのです。