愛媛県内子町は「木蝋」の生産で栄えた町。
内子には時間が止まったような古い町並みが今でも残っています。その一角にある「大森和蝋燭屋」には愛媛で唯一のろうそく職人がいます。
愛媛唯一の和ろうそく職人「大森和蝋燭屋」
愛媛県内子町は、県庁所在地の松山市から南部に約40kmの南予地方の町。江戸時代、和蝋燭の材料になるハゼの流通で財をなした商家が栄え、白壁の町並みが残っています。
八日町護国の町並みが国の重要伝統的建造物保存地区となっています。内子の木蝋は国内だけでなく世界中で評価され輸出されていました。
その内子町で昔ながらの製法で和ろうそくを作っているのが「大森和蝋燭屋」です。創業は200年前。伝統的な和ろうそくを現代でも作り続けているのは、愛媛県でもここだけです。風情のある昔ながらの建物が店舗兼作業場になっています。
大森和蝋燭屋は、大英博物館のHPでも紹介されています。
http://www.britishmuseum.org/research/collection_online/collection_object_details.aspx?objectId=3231487&partId=1&searchText=matsuyama%20japan%20candle
現在、和ろうそくづくりをしているのは6代目の大森太郎さんと7代目の大森亮太郎さん。観光の一環として、作業風景が自由に見学できるようになっています。
訪れた時は午後で、蝋を溶かして後片付けをしているところでした。本格的な和ろうそくづくりを見るためには、午前中に行くのがおすすめです。
愛媛に残る伝統「和ろうそく」の作り方
大森和蝋燭屋さんには、和蝋燭作りの工程の説明もなされていました。
準備:ハゼの実から木蝋をつくる
↑ハゼの実
↑木蝋
①竹串に和紙と燈心草(い草の髄)を巻きつけて真綿で留めて芯を作る。
②生掛け:40~45度の温度にして溶かした蝋を手ですくい、芯になすりつけて乾かし、また蝋をかけて乾かすこれを繰り返して大きくしていく。
③約50度の温度に溶かした蝋で艶出しをする。独特の色合いの和蝋燭ができる。
④芯を切り落とさないように竹串を抜く。
⑤長さを切りそろえて完成!
愛媛に残る伝統文化「和ろうそく」の特徴
独特のうぐいす色の和ろうそくは、以下のような特徴があります。
・炎が大きくて明るい
・すすが少なく部屋が汚れにくい
・風に強くて多少の風では消えない
・無風の場所では蝋がたれない
・長持する
・植物性で地球にやさしい
・風がなくても炎がゆれていて見ていると心が安らぐ
特にお寺での使用や、仏壇のお供えなどとしてもよく利用されています。また、洋ろうそくにはない神秘的な光の癒やしを求めて買っていかれる方や、インテリアに使用される方もいます。
安い洋ろうそくの普及により和ろうそくはニーズが激減しましたが、伝統的な和の良さを愛する若い方や外国の方にも人気が出てきています。
後世に残すべき「和ろうそく」の魅力
愛媛の内子の大森和蝋燭屋と和ろうそくについてご紹介しました。和ろうそくづくりの伝統もぜひ後世に残していって欲しいと思わされました。和ろうそくの灯りで癒しのひとときを過ごしてみてはいかがでしょう。
大森和蝋燭屋では、通販もしているので取り寄せることもできます。また愛媛の内子の美しい白壁の町並みも価値があるので、ぜひ愛媛に行った際には内子と大森和蝋燭屋を訪れてみてはいかがでしょう。
大森和蝋燭屋
住所:愛媛県喜多郡内子町内子2214
電話番号:0893-43-0385
営業時間:9時~17時
休館日:火・金曜日(お盆、年末年始不定休)
アクセス:JR内子駅から徒歩15分
町並駐車場:普通車60台(300円)
駐車場:あり(1台)
公式HP:http://o-warousoku.com/index.html
文・写真/あかつき