七宝焼き(しっぽうやき)とは?|歴史・作り方・体験レポートも!

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出典:ウィキペディア

芸術品だけではなくブローチやイヤリングなどでも、その美しさからいつの時代でも人気の高い焼き物に、「七宝焼き」というものがあります。 日本の伝統工芸技法である「七宝焼き」は「しっぽうやき」と読まれ、英語でenamelと呼ばれています。

この「七宝焼き」は、金属工芸品で、金銀銅などの金属に、ガラス質の釉薬で色の焼き付けを行うことで生成されています。釉薬の具合だけでなく、温度差でも仕上がりの表情が変わり、2度と同じものができないまさに粋な工芸品です。

七宝焼きの名前の由来

「七宝焼き」の名前の由来には2つの説が存在します。

1つ目は、材料に宝石が用いられているからという説です。

2つ目は法華経の中にある七宝(金・銀・真珠・メノウ・ルリ・シャコ・マイエ)のような美しさがあるという意味で名付けられた説です。 ちなみに調理器具などで良く耳にする「琺瑯(ほうろう)」も、鉄に釉薬を施した「七宝焼き」となります。

七宝焼きは古代エジプトで発祥?


出典:pixabay

「七宝焼き」の歴史を紐解くと、その技法の起源は紀元前のエジプトまでさかのぼります。 古代エジプトで生まれた「七宝焼き」の技法は、他の文化と同様にシルクロードを渡り中国に伝来してきました。

そして、中国を経て飛鳥時代頃の日本に「七宝焼き」の技法が伝えられたと言われています。

明治時代になると「七宝焼き」の人気に押される形でその技術も飛躍的に発展します。 特に京都の並河靖之(なみかわ やすゆき)、東京の濤川惣助(なみかわ そうすけ)、尾張の七宝家らの「七宝焼き」には人気が集まり、欧米に輸出されると、非常に高い値段で取り引きされていました。

現在ではそうした世界に誇れる「七宝焼き」の技術は、残念ながら失われつつあります。

七宝焼きの特徴とは?


出典:ウィキメディア・コモンズ

ブローチやイヤリングなどのアクセサリーから壺、そして調理用の鍋まで、「七宝焼き」は実に多くの用途・表情を持ち合わせています。また、用途だけではなく色合いの多さも「七宝焼き」の特徴です。

そして、「七宝焼き」の宝石のような美しい輝きは、長い時間が過ぎても失われることがありません。ツタンカーメンのラピスラズリや栃木県日光市にある日光東照宮の飾りにも「七宝焼き」の姿を目にすることができます。

そんな朽ちることのない七宝焼きを作り続けて54年、国際七宝美術ビエンナーレ展(仏リモージュ)4回連続入選という実績を持つかすや桂子さんを少しご紹介します。

日本を代表する七宝作家「かすや桂子」

桂七宝研究所は、日本を代表する七宝作家「かすや桂子」さんが運営しています。

かすや桂子さんの主な経歴
・国際七宝美術ビエンナーレ展(仏リモージュ)4回連続入選
・仏リモージュ七宝博物館に作品が買い上げされ、永久展示作品となる
・日本七宝作家協会理事・評議員(1992年脱退)
・著書「七宝入門」発行
・さいたま市伝統産業事業所に指定

世界からも評価されるかすや桂子さんですが、ネットショップで作品を公開しています。

1点ものかつ独自の技法で作られる日本最高峰の七宝が、3,000円代〜20,000円代の価格帯で、比較的リーズナブルに販売されています。

かすや桂子の七宝作品をみる

七宝焼きの作り方を学ぶなら体験

また、桂七宝研究所では様々な美しい七宝焼き作品が購入できるだけでなく、体験教室も開いています。実際に体験すると七宝焼きの作り方も学べますし作品ももらえて一石二鳥ですね。

日本を代表する七宝作家から受けるブローチ制作のワークショップ

一般的にできる七宝焼き体験と違って、素地から作ることができるため、世界に一つのオリジナルの七宝焼き作品を作ることができます。(他の体験は生地から作らない体験が多くあります)

このような本格的な七宝焼き体験ができる場所は少ないようで、北海道から沖縄まで体験に来られたことがあるそうです。

関東の方は、武蔵浦和駅(新宿駅から24分乗り換えなし)のため、好アクセスなところも魅力です。

桂七宝研究所では、普段は七宝の教室も開いており、フレンドリーな環境で優しく、丁寧な指導のもと安心して体験することができます。

体験先:桂七宝研究所
住所:埼玉県さいたま市南区沼影1-6-27
アクセス:JR埼京線・武蔵野線「武蔵浦和駅」より徒歩5分

大宮駅から電車11分、新宿駅から電車24分
体験時間:10:00 ~ 16:00 (6.0時間)
体験費用:9,000円

粋編集部が、桂七宝研究所の七宝ブローチ作り体験を実際に体験して、レポートを書いておりますので、体験を詳しく知りたい方はぜひ一読ください。

七宝焼き体験レポートを読む

 

作品の購入を検討している方は、桂七宝研究所のネットショップで作品をご覧になれます。

かすや桂子「桂七宝研究所ネットショップ」

https://katurashippo.thebase.in/

 

記事後半では、あのスーパーカーのエンブレムにも七宝焼きが使われていた?意外と知らない七宝焼きの作り方や体験スポットをご紹介します。

誰もが知るあの外車のエンブレムにも採用されていた世界の七宝についてご紹介します。

世界の七宝焼き。スタンカーメンにフェラーリ

「七宝焼き」は世界中に多くの作品が存在しています。 すでに記載したツタンカーメンのラピスラズリなど、エジプトのピラミッドなどから発掘される副葬品には、実に多くの「七宝焼き」のアクセサリーを見ることができます。

また、世界的に有名なイタリアに本社をもつ、高級自動車メーカーのフェラーリ社。そのフェラーリ社が手掛ける自動車のエンブレムは「七宝焼き」で作られているのです。また日本が誇る自動車メーカートヨタでもトヨタ2000GT、MR2などで使用されていたそうです。

近年は採用されなくなってきたようで、昔の名車を見る機会があれば、エンブレムが七宝焼きかどうか注目してみるもの粋でしょう。

 

七宝焼きの作り方

「七宝焼き」は、金属製の素地(金・銀・銅・鉄など)に、主成分に二酸化ケイ素を含む鉱物資源で構成されている釉薬(ゆうやく)と呼ばれる薬剤で色付けを行います。

そして、色付けされた物を摂氏800度前後で焼成します。高熱の中で釉薬が溶けることにより、なめらかなガラスになり、表情豊かな「七宝焼き」が出来上がります。

「七宝焼き」を焼き上げる時、比較的大きな作品になると専用の窯などを使用しますが、ブローチなどは電子レンジなどでも焼き上げることができるため、家庭でもその美しさを楽しむことができます。

また、焼成する前の色と後の色では色合いが全く異なるところも「七宝焼き」の楽しみの一つと言えます。

七宝焼きの作り方の詳細は体験レポートをご覧ください。

<体験レポート>桂七宝研究所|七宝焼アクセサリー作りを体験

 

七宝焼きを作ろう!七宝焼きが体験できるスポットを紹介

【桂七宝研究所/埼玉】

こちらでは、一般的にできる七宝焼き体験と違って、素地から作ることができるためオリジナルの七宝焼き作品を作ることができます。

体験先の先生は様々な賞を受賞している女性の七宝焼き職人さんです。優しく、丁寧な指導のもと安心して体験することができます。12歳未満の方は保護者との同伴が必須となるのでご注意下さい。

住所 埼玉県さいたま市南区沼影1-6-27
料金 9,000円
アクセス JR埼京線・武蔵野線「武蔵浦和駅」より徒歩5分
体験時間 10:00~16:00

【スタジオサカミ/東京】

こちらは仲御徒町駅より徒歩1分にある七宝製作所です。キーホルダー・ペンダント・ブローチの中から好きなものを選んで制作することができます。

体験時間は約1~2時間で10:30~13:00~14:00~の3つの中でお好きな時間帯を選んで体験することができます。ただ、13歳未満の方は保護者の同伴が必要なのでご注意下さい。

住所 〒110-0016東京都台東区台東3-16-9 シルバービル1F
料金 2,160円(税込)〜
アクセス 首都高速1号上野線「上野IC」から約10分※駐車場なし
JR山手線・京浜東北線「御徒町駅」 南口2番出口より徒歩約5分
地下鉄日比谷線「仲御徒町駅」1番出口より徒歩約1分

【仮森七宝工芸店/東京】

こちらは色々な方に七宝焼きの良さを知ってもらおうと一日体験教室を開催しています。大学生や一般の方も体験できますが、基本的に中高生を対象にしたものとなっています。また、3人以上でないと体験できないのでご注意ください。

住所 〒111-0041 東京都台東区元浅草1-2-1
料金 1500円~
アクセス 都営地下鉄の大江戸線・新御徒町駅A3出口から左側へ徒歩2分
定休日 第1・第5土曜日、日曜日、祭日

粋編集部が行く!体験レポートの記事一覧

粋編集部では、日本文化や伝統工芸の体験レポート記事を書いています。

七宝焼きの魅力

明治時代に作成された日本で有数といわれる「七宝焼き」のほとんどの名品は、海外の美術コレクターに大切に保管されていて、現在でもその評価の高さは変わることがありません。

時代が変わってもその価値が色褪せることのない日本が誇る「七宝焼き」ですが、「尾張七宝」などでは後継者不足が問題になるなど、その伝統が失われつつあります。

「七宝焼き」の素晴らしさを私達日本人が改めて見つめ直すことで、失われつつある世界に誇れる伝統工芸を、盛り上げていきたいものです。

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