信楽焼まつりで日本六古窯のひとつ、信楽焼を知る | 粋 – iki –

10月の三連休、滋賀県・信楽では信楽陶器まつりが行われます。信楽焼といえば、たぬきの置物が有名ですが、元々は素朴な風合いが特徴の器です。「わびさび」を感じられる器として、茶人たちからも愛されてきました。

信楽焼ってなに? – 信楽陶苑たぬき村

一口に信楽焼といっても、同じような形でも仕上がりが微妙に違うことや、作家によって焼き方が異なるなど、バラエティ豊かな風合いを楽しめるのが魅力です。信楽陶器祭りでは、屋外という開放的なシチュエーションで、種類豊富な信楽焼を、のんびりと見て回ることができます。

自分の気に入った器が家の中にあると、それだけで毎日がちょっと楽しくなることってありますよね。そんな、日々を彩る器を見つけに、信楽陶器まつりに出かけてみませんか?

伝統工芸品、信楽焼の歴史

日本六古窯のひとつ、茶人たちに愛されてきた焼き物

信楽焼は、滋賀県甲賀市・信楽を中心に作られる焼き物で、日本六古窯のひとつに数えられています。1976年(昭和51年)には、国の伝統工芸品のひとつとして指定を受けています。

中世から始まったとされる焼き物作りは、素朴さの中に「わび」「さび」が感じられるとして、室町時代から茶道の隆盛とともに、多くの茶人たちに愛されてきました。

時代の流れとともに、日々の暮らしにも寄り添う焼き物へ

江戸時代に入ると、茶道で使う道具以外にも、一般の人が日々の暮らしで使うような土鍋や徳利、水がめなどの生産も盛んになります。

まこっちさん(@makoccino)がシェアした投稿 – 2015 10月 11 1:09午前 PDT

さらに明治、大正、昭和と、時代の流れと生活様式の変化に合わせ、その時々で必要な道具を生産し続けてきました。

現在も、有名な狸の置物以外に、建築用のタイルから、日用雑貨、毎日の食卓で使える食器など、信楽焼ならではの「わび」「さび」の風情を残しつつ、さまざまな用途の焼き物が作られています。

信楽焼の特徴

素朴であたたかみのある風情と、独特の焼き上がり

megumiさん(@m.konayuki)がシェアした投稿 – 2016 10月 9 6:15午後 PDT

信楽焼の器は、素地が荒く、細かな石粒が多く含まれ、ざらざらとした感触が特徴のひとつです。絵付けをされることが少ないため、土の風合いが活き、素朴であたたかみがある器であることが多いです。

信楽焼で使われる土には、鉄分が含まれることから、焼いたときに赤く発色するのも特徴です。窯の中で鉄分が反応し、炎に勢いが生まれやすく、灰をかぶって自然降灰釉が付着したり、薪の炎に埋まって黒褐色の「焦げ」が生まれるなど、独特の焼き上がりになります。信楽焼の土は、耐火性もあるため、大小問わず焼き物づくりに適しているといわれています。

さらに、釉薬の種類や、焼き〆や粉引といった焼き方の技法も数多くあります。焼き物に適した土であることと、技法も多様性に富むことが、作家ごとに異なる作品を生み出すきっかけになっている、と考えられています。

秋の楽しみ!信楽陶器まつり

毎年10月の三連休に、信楽陶器まつり開催

tomomiさん(@22tomomi)がシェアした投稿 – 2015 10月 11 6:16午後 PDT

信楽陶器まつりは、毎年10月の「体育の日」を挟む三連休に開催されます。信楽陶器まつりでは、たくさんの窯元が参加する即売会が開かれます。即売会は、屋外に特設会場が用意されるので、開放的な雰囲気の中で作品を見て回ることができます。

信楽焼は、シンプルな風合いの作品が多く、茶碗やお皿など日々の食卓に使える焼き物も多いです。植木鉢や花瓶、傘立てなど、大きめの陶器もよく作られているので、こだわりのものを探している人にとっては見つけるチャンスかもしれません。おすすめは信楽焼の土鍋です。急熱急冷に耐性があり、直火にも強いといった特徴があるので、冬に向けて土鍋を買い替えたいなという人は一度手に取ってみてはいかがでしょうか。

即売会では、地元の人による焼きシイタケや手打ちそばといったフードコーナーも用意されます。腹ごしらえをしつつ、一日のんびり楽しんでください。

◎信楽陶器まつり詳細

・開催地  /滋賀県甲賀市信楽町長野1203

・開催時間 /9:00~17:00(最終日は16:00まで)

・メイン会場/信楽地域市民センター(駅前会場)

       県立陶芸の森

・アクセス /電車:信楽高原鐵道(信楽線)「信楽駅」から徒歩約3分

車:新名神高速道路「信楽IC」から約15分で臨時駐車場

※陶器まつりの期間中は臨時駐車場あり(普通車1,000台、大型車30台)

※陶器まつり会場―臨時駐車場間は無料シャトルの運行あり

・問い合わせ/陶都しがらきまつり実行委員会(信楽焼振興協議会)

0748-83-1755

即売会だけじゃない!信楽焼の作品展も見られるチャンス

『県立陶芸の森』では個性豊かな作品が展示される

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即売会以外のメイン会場に、『県立陶芸の森』があります。陶芸の森でも、信楽焼の作家たちによる展示会が行われます。陶芸の森に展示される作品は、実際に作家が手掛けたこだわりの作品が並ぶことが多いです。

即売会とは違った趣の作品に出会えることや、作家と直接話をすることで、器に対する見方が変わることがあるかもしれません。

陶芸の森では、他にも陶器まつりに合わせた展示会が行われることが多いです。買い物だけでなく、美術鑑賞という面でも、思う存分信楽焼に親しめるチャンスです。

少し足を延ばせば、MIHO MUSEUMへも

Miho Museum / I.M. Pei
Completed in 1997 in Koka, Japan. Images by Miho Museum. The Miho Museum was a joint Japanese and American project compl...

信楽には海外からも評価が高い美術館、MIHO MUSEUMもあります。トンネルの先にある桃源郷、と評される美術館は一見の価値ありです。秋は紅葉も楽しめる美術館なので、車で訪れる人は少し足を延ばしてみるのもいいかもしれません。

見て触って、一日楽しめる信楽陶器まつり

大量買いするもよし、こだわりの器を探すもよし、自分好みに楽しもう

信楽陶器まつりは、即売会会場と、作家による展示会とにメイン会場が分かれています。即売会では、所狭しと並ぶ信楽焼の中から、自分好みの器を探すのは宝探しのような気分が味わえます。

一方で、こだわりの器を見つけたいという人は、作家と直に話せる展示会へ足を運んでみるのがおすすめです。信楽焼の素朴な風情は、日々の暮らしをきっとあたたかくしてくれるはず。

「秋のお出かけ、どこに行こうかな」と思ったら、信楽陶器まつりへと足を運んでみてはいかがでしょうか。

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