蒸し器がなくても大丈夫!東北地方の郷土料理「がんづき」の作り方

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Photo by Norio Nomura

誰もが子どもの頃に口にしたことがあるであろう「蒸しパン」。どんな蒸しパンだったか覚えていますか?蒸しパンは、白い生地に甘納豆が入っていたり、カボチャやホウレン草が練り込んであったりとアレンジしやすく、バリエーションが豊富なおやつのひとつです。

そんな蒸しパンにも地域によって呼び名や作り方が少しずつ変わります。東北地方の岩手県宮城県郷土料理である蒸しパンの一種「がんづき」は、黒い生地にごまとクルミが乗っているのが特徴。

今回は、この「がんづき」の名前の由来や作り方についてご紹介します。

「がんづき」とは

「がんづき」とは、岩手県・宮城県を中心とした東北地方を代表する伝統郷土料理のひとつ。濃い茶色でふわふわとした生地の上に、ごまとクルミがまぶしてある蒸しパンです。

主な材料は小麦粉と黒糖で、重曹を混ぜてふっくらと仕上がっているのが特徴。さらに醤油や黒ゴマ、胡桃などをトッピングしたものや、白砂糖と牛乳を使用した白いがんづきもあります。

 

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また、蒸しパンともうひとつ、宮城県石巻市のういろうのような形状をしたがんづきも。材料の小麦粉は同じでも、砂糖と水を加えて練ったものを蒸して作っています。ういろうに似ていますが、比べると白くて透き通っているのが特徴。

また、ういろうは原料が米粉なのでどっしりとして、いかにも食べ応えがあります。しかし、ういろうに似たがんづきは、小麦粉を使用しているので一味違った歯ごたえです。やわらかい割にはしっとりとした食感で、若者からお年寄りの方まで、幅広い年齢層から人気があります。

がんづきの由来


photo by Hajime NAKANO

がんづきは、漢字で書くと「雁月」と書きます。由来にも諸説ありますが、鳥の「雁(ガン)」が真ん丸のお月様の下に飛んでいる様子をモチーフにして、丸い蒸しパンに黒ごま・クルミを乗せたことが発端だと言われています。また、見た目が雁の肉に似ていることからきたとも言われているんですよ。

初めて食べる人でも飽きのこない素朴さが、どこか懐かしく感じるがんづき。出来立てはほかほかでふんわり、冷めてもしっとりおいしいおやつです。

岩手県や宮城県では、お祝い事のときのお土産やお茶請け、おやつとして長く親しまれ、食べられてきました。黒砂糖が使用されていることから、ミネラルもたっぷり摂取できます。腹持ちのよい軽い食感が好まれて、今でも農作業の合間の栄養補給としてよく食べられているんです。

岩手県や宮城県に足を運ぶと、道の駅や農家のお母さんが運営している直売所には、必ずと言っていいほどかんづきが並べられています。その購入者のほとんどは地元の方々。1切れがおよそ100円〜と、とてもリーズナブルな価格で販売されているのもうれしいですね。

がんづきの作り方とおすすめレシピ

では、自宅でがんづきを作るときに活用していただきたい、おすすめレシピをご紹介します。家庭によってアレンジされていることもありますが、今回は基本のレシピと豆乳を使ったレシピの2つ。また、蒸し器がなくても作れる方法も紹介するので、ぜひ参考にしてみてくださいね。

基本のがんづきレシピ

〔材料(直径20㎝の丸形)〕

薄力粉         150g
重曹          7g
卵           1個
黒砂糖         120g
食用油         小さじ1
ハチミツ        大さじ1
しょうゆ        小さじ1
水(または牛乳)    100㏄
酢           50㏄
ごま(ゴマ塩)、クルミ   適量

本来のがんづきには、日本の山で収穫できる和グルミ「オニグルミ」の実が使われています。しかし、和グルミはなかなか手に入れにくく、殻を割る手間があるので、手に入りにくい場合は海外産の西洋クルミで代用してOK。

また、重曹は掃除用の物ではなく「食品に使ってOK」などの記載があるものを選びましょう。

がんづき作りのポイントは、重曹と酢を合わせるタイミング。これらの材料を合わせると、すぐにシュワシュワと発泡します。これは、重曹と酢が化学反応を起こして、二酸化炭素を発生させているため。素早く混ぜ合わせて蒸し器に入れることが、がんづきをしっかり膨らませるポイントなのです。

〔作り方〕

①蒸し器を用意し、お湯を沸かしておき、蒸し器に入る型にクッキングシートを敷いておく
②薄力粉と重曹をふるい合わせておく
③ボウルに卵を割り入れ、泡だて器でよく混ぜる
④砂糖を2〜3回に分けて入れ、その都度よく混ぜる
⑤油、ハチミツ、しょうゆ、水の順番で混ぜていく
⑥⑤に2をふるい入れ、泡立て器でよく混ぜ合わせる
⑦⑥に酢を入れる。気泡が出てくるのでゴムベラで切るよう手早く軽く混ぜる
⑧①の型に生地を流し入れ、ごまとクルミを乗せて蒸し器にセットする。このとき、蒸し器のふたにふきんをかぶせておくと、水がしたたり落ちる心配がない
⑨強火で15分ほど蒸して竹串を刺し、生地が付かないようであれば完成。火を止めて蒸し器から型を取り出し、冷ます

重曹とお酢の量を8割ほどに減らして調整し、小さいアルミカップやマフィン型に入れて作るのもおすすめです。小さくすれば蒸し時間も8割ほど短縮できますし、食べきりサイズなのでお子さんも手でちぎってパクパク食べられるのでおやつにぴったりですよ。

また、たくさん作って冷凍しておけば、解凍していつでもがんづきを食べられます。冷めたがんづきをラップで包み、冷凍庫へ入れて保存しておきましょう。

食べるときは、様子を見ながら電子レンジで20〜30秒温めると、ふわふわのがんづきに元通り。このとき、アルミカップを使ってしまうと電子レンジで温めることができないので、注意してくださいね。

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